Artec 3Dスキャナを使用して、世界最古の文明から保存できる可能性のあるものすべてを保存します ~メソポタミア

課題:何十年にもわたって、イラクの人々は爆撃や戦争、そして破壊に直面してきました。そしてその文明の発祥地を構成する遺産もまた、危機に直面しています。ここでの課題は、映画製作者のアイヴァン・エーヘル(Ivan Erhel)氏が、彼が作成した映画の一部としてとある撮影現場をスキャンすることでした。

ソリューション:Artec Space Spider、Artec Eva、Artec Studio、フォトグラメトリ用のAgisoft Photoscan(現在のMetashape)、そしてドローンを使用したスキャン

結果:その映画が完成し、新しいプロジェクトが始まりました。それは、イラクの若者に、国をまとめてデジタル化しながら、3Dスキャン技術について教えることです。

高い場所からデータをキャプチャするには、いくらか即興が求められました

メソポタミアは、文明の発祥地であり、歴史の書物や記録などの重要なツールの発祥の地です。世界の文化遺産の多くを保持している国に関連するすべての神聖さと価値がそこにあるにもかかわらず、現代のイラクの広大な範囲の土地は戦争により多くの損失や損傷を負い、破壊されて廃墟となっています。

このプロジェクトは、1つのアイデアから始まりました。それは、まだ保存が可能なものを保存することはとても重要であるということです。

「すべては、私と妻の友人達と一緒に家で飲んでいた2015年2月に始まったんです」とフランスの映画製作者アイヴァン・エーヘル氏は言います。この友人は プロ仕様のハンドヘルド3DスキャナであるArtec Evaを購入したばかりで、彼はそれに夢中でした。「彼は世界をスキャンしたかったのです」とエーヘル氏は当時を回想しました。

ISISがモスル博物館を破壊しているビデオを見て、彼らは2人共ショックを受けました。エーヘル氏の友人は、すでに多くが失われてしまったことがどれほどひどいことであるかを嘆きました。

「彼は、 『僕がほんの少し前にそこにいたら・・僕達はそれらの失われてしまったものがどんなものであったか、優れた品質で正確なデータが残せたのに、もう時すでに遅しですよ』と言うんです」とエーヘル氏は説明します。

「私たちはそれについてもっと話しあった後、イラクにはまだ保護すべきものがたくさんあるのだという結論に達したんです」とエーヘル氏は言います。「私はじゃあ、わかりました、残っているものを保存しようじゃないかと言いました」

エーヘル氏は最終的に自分でプロジェクトの調整を任され、ビザを取得し、その仕事を始めるために必要な許可を取得するという多くの課題に直面しました。彼はすぐに、遭遇するであろう他のすべての障害を考慮すると、彼が最もよく知っていること、つまり映画を作ることに集中しながらプロジェクトを続けることが最も理にかなっていることに気づきました。

「私は本当に何かアクションをおこしたかったのですが、私は軍隊でも、政治家でもありません。まったく無力なのです」と彼は言いました。「しかし、私は映画制作をします。なので私は、『じゃあ、映画を作ろうか』と言ったんです」

考古学者のアブドゥラミール・アル・ハムダニ(Abdulameer Al Hamdani)氏と写真家のサルマット・ビーブル(Sarmat Beebl)氏と共に有名なジッグラトに向かったジャワド・バシャラ(Jawad Bashara)氏(写真提供:Films Grain de Sable)

この物語は、南から北へ向かうジャワドという男の旅をたどったものです。彼は、フランスに避難し、35年後にイラクに戻ったイラク人作家です。彼は自国に戻って3Dスキャンを利用して失われた遺産と残っているものを保存するためにできる限りのことをするつもりです。

「この物語の主人公の男性は、決してオタクではありません」とアーヘル氏は笑います。「しかし、彼はなんとかそのスキャナを使用して、専門的な方法でスキャンすることができました」

そしてこのストーリー展開により、作業チームは一度にいくつかのことを行うことができました。映画の制作、イラクの3Dスキャン、3Dテクノロジーのアクセシビリティの実証です。

国中のあちこちをスキャン

チームが最初にスキャンを試みたのは、かつて長さが約250メートル、幅20メートルの長いレンガの道、Processional Wayの跡地でした。Processional Wayはまた、100以上の動物や伝説の生き物で飾られ、そのうちの1つ(ムシュフシュまたはムシュフシュ–ライオンとドラゴンのハイブリッド)がスキャンされました。彼らはまた、バベルの塔としてより一般的に知られているバビロンのジッグラトの建設を記念する壁の基礎レンガをスキャンしました。

Artec Space Spiderで基礎レンガをスキャンする

そして、これらの部分で見られた苦労のおかげで、スキャンを開始しようと到着した彼らにちょうどいい仕事がありました。「ニムルドでは、浅浮き彫りのほとんどが完全に破壊されていました」とエーヘル氏は言います。「バビロンでは、ムシュフシュは色を失いましたが、何世紀にもわたって砂に埋もれていたため、かなり良好な状態で保存されています。そしてハトラでは、その領地は数年間ISISによって占領されており、彫刻は「汚され」てしまっていました。つまり、ハンマーや銃声で顔が消されていたのです」

エーヘル氏と彼が集まったチームが2016年にイラクに向かったとき、ISISは国の30%を占めていたとエーヘル氏は思い出しました。「状況は当時とても緊張していました」と彼は言います。「しかし、私たちは何度も何度も戻ってきました」

エーヘル氏の場合、 落ち着いた環境の屋内でスキャンができる建設土台用の釘やレンガなどの小型オブジェクトを扱う際に、それらをターンテーブルにのせて使用するのにArtec Space Spiderは理想的な選択肢でした。複雑なジオメトリやシャープなエッジ、薄い骨組みなどをレンダリングするSpace Spiderの機能は、そういった文化的遺物のような小型で複雑に設計されたパーツに不可欠なソリューションです。それを単独で使用しても、他のスキャナとペアで使用しても、高解像度と最高品質のスキャンを提供することができます。その撮影現場でArtec Evaはスティックに保持されると制御されていない動きに対する感度が低くなるため、浅浮き彫りのような大型オブジェクトをより広い角度で分析するには、Artec Evaはが最も適していることがわかりました。

作業チームは国中を旅行している間、Artec Evaで数々の高い場所をキャプチャすることができました

幅60〜75メートル、高さ30メートルの1つの記念碑には、EvaとSpace Spiderのセットが使用されました。一部のスキャンはドローンで行われましたが、これはイラクで違法だったため、その結果1週間それを没収されることになってしまいましたが、他の部分では困難な領域に到達するためにその場しのぎのツールを使用する必要がありました。

「常にスキャナはスティックに取り付けられていました」と彼は説明します。一部の領域は非常に高い所にあり、そこへ到達するのが難しく、それを移動することはできなかったためです。

移動を続けながら、エーヘル氏はチームを北から南に導いていき、遺跡から記念碑、そして市民や兵士の顔まですべてをスキャンしました。「私達は人々をスキャンし、彼らがコンピューターの画面で彼ら自身のスキャンを見ることができたとき、彼らは私達が一体何をしているか理解しました」とエーヘル氏は言います。「しかし、彼らはこう尋ねました。 『なぜあなた方はスキャンするのですか?あ、もしかして遺産を保護するためにですか?なるほど、遺産のためね!ええと、そういうわけなら、ここにいくつかスキャンするものがありますよ』とそんな感じでね」彼は笑いながら言います。

「ISISは北に向かって動き始めたので、私たちはニムルドの最初の非軍事的サイドにいました」と彼は当時を回想しながら言います。「残念ながら、1つの彫刻を除いて、完全にそれらは破壊されてしました」

この彫刻にニムルドの最後の生存者という名前を付けて、作業チームはEvaでスキャンを開始することにしました。しかしその瞬間、銃声が聞こえました。「彼らは空中に銃で撃ったんです」と彼は言います。「民兵はその現場を保護していて、彼らは多分私達が略奪者であると思ったのでしょう」

しかし、作業チームの真の目的を説明した途端、彼らは温かく受け入れられ、スキャンを続行することが許可されたのです。

デジタルでキャプチャできるものを保存する様子

原因について考える

しかし、緊張と破壊、そして死がこれまでにありましたし、それがまた近接していたため、エーヘル氏のチームは難しい質問に直面することになりました。人々が至る所で毎日殺されている中で、遺産の保存にフォーカスするのは本当に公正なことでしょうか?

その答えは、モスルのイラクの将軍を通してエーヘル氏にやってきました。「彼は 『私たちは木のようだ』と言ったのです」とエーヘル氏は語ります。「人々が倒れるときというのは、葉や枝が落ちるようなものです。しかし、根を破壊してしまえば、木は残りません」

だからこそ、戦争や苦しみの中でも、これらの「古い石」の世話をすることは重要なのだと彼は気づいたのです。「2017年にモスルが完全に解放されるまで、私たちは軍隊と連立に続いて前進し続けました」と彼は言います。

恩返しをするために

この献身的な作業チームにとって、彼らの仕事は文化的保護の目的を超えています。それは、私達が現在住んでいる世界を形作る歴史をとらえることにも及ぶのです。「ここが彼らがすべてを発明した場所です」とエーヘル氏は言います。「執筆や法律の概念、科学的発見、三角法、数学、建築、また、僕らもスキャンしましたが、史上初のアーチなどです。イラクは戦争中の国なだけではありません。西洋文明が生まれた場所でもあるのです」

その映画が完成しても、エーヘル氏のチームの仕事と計画はまだ終わっていません。彼らには次の目標があります。10月に開催されるTech4 Heritageというワークショップでは、イラクの若者に3Dテクノロジーについて従来よりはるかに教育的で参加型な方法で教えることを計画しています。

エーヘル氏は現在、このプロジェクトをさらに進めるためにイラクのテレビ局やフランスの放送局とミーティングを行う計画をしていますが、今のところは90分の映画全編がフランスとドイツのテレビチャンネルのArteで放映され、その後50分の短いバージョンはさらに他の20ヶ国で放映される予定です。

「私は遺産を保存する運動を始めたいんです」とエーヘル氏は言います。「私が40人に3Dの取り扱い方を教えて、そしてまた彼らがより多くの人にそれを教えることで、全国からデータを収集し始めることができたら、すべてをデジタル化できるはずです」と彼は言い、Evaをイラクに、スキャンが必要な場所に再び送ったのだと言いました。

多くはすでに失われていましたが、残っているものはまだ保存することができます

「この国は非常に分断されていますが、イラクのいたるところにまだ遺産があります」と彼は言います。「そして、遺産は国を一つにまとめることができる、サッカーチーム以外の唯一のものであると言えます」

そして、遺産への共通の愛情をめぐり、国の共通の基盤を築くために彼ができることは何でもするつもりだと言います。例えば人々を彼らの活動に参加させたり、若者に何か貢献したいのだと言います。また、文明の発祥地であるイラクに住む人民に、プライドを取り戻す手助けをしたいという、もっと大きな夢もあります。

古代の遺物をデジタルでキャプチャし、すべての人々がアクセスできるようになりました

「歴史を通していくつかの時点で、バグダッドは世界のトップにありました」と彼は言います。「おそらく今、私たちは国を少しまた統一させることができると思います。また、私たち全員がメソポタミアに負っているものを世界に知らしめることもできます。私たちの文化の90%はここから生まれているので、私たちは彼らにそれを返してあげる義務があるんです」

そして、3Dスキャン作業はこの国全体で行われていますが、そのような豊かな歴史の文書化は全世界に利益をもたらすでしょう。

「この物語はイラクを舞台にしています。しかし、この歴史は私達人類全員のものなのです」

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