裏側に潜入: Artec Leoを利用したISS社の液漏れ修復事業の年中無休での提供方法とは
課題:顧客の生産量を落としたり、技術者の安全性を危険に晒したりすることの無いよう、入り組んだ形状の配管部品のジオメトリの寸法計測を高速、かつ正確に行うこと。
ソリューション:Artec Leo、Artec Studio、及びSOLIDWORKS
結果:より速く、今までよりも維持管理に手間のかからない迅速なクランプの個別設計用ワークフロー。今では、データは完全非接触の形でほんの数分のうちにキャプチャ可能となった一方で、完全な3Dモデルもわずか一時間で完成することが可能である。技術者やエンジニアの負担を軽減させることに加え、ISS社の3Dスキャニングワークフローは精製所が起こり得る環境被害を回避し、操業中断による経費を節減することにも役立つ。
なぜ、Artec 3Dなのか:Leoは競合機種よりも高速かつ多用途である上、より簡単に使用できる。同企業は一般的なジオメトリに対しては今でも手作業での計測を行っているが、複雑な作業はArtec社製3Dスキャニングが効率化している。また、ソフトウェアのArtec Studioによって迅速なスキャンデータの位置合わせ、メッシュ化、デシメーション、そして SOLIDWORKSへエクスポートしての特注修復器材の個別製作も可能となる。

Artec Leoを用いて石油ガス施設内部の配管をキャプチャするISS社のエンジニア。画像は、Industrial Specialty Services社のご厚意で掲載
世界の広大な精製所・石油化学ネットワークでの液漏れの修復は、並大抵の技術ではない。遠隔地や訪れることの難しい場所で操業していることが多い精製所や石油化学施設は日々、数百万キロメートルもの長さの配管、及び配管部品に依存しているのである。
部品に液漏れが生じた場合、修理のための寸法測定は非常に困難となるが、それは単に距離や設置されている場所(多くは地下や水面下にある)の問題によるだけではなく、安全性にも関わってくる。配管が有毒な物質を運んでいれば、手作業による計測は非接触の代案よりも本質的に危険度が高い。蒸気や伝達過程での煙が欠陥のある管を見えにくくすることで、可視性も問題となる。
同様に、液漏れの修復においては時間が重要になる。テープや計測機器、キャリパーなどを現地へ持ち込むことは、長年をかけて実証された配管のジオメトリの計測手段かもしれないが、時間がかかり、技術習得も難しい上、誤差が発生しやすくなる場合もある。作業の複雑性は以上の問題点をただ悪化させるだけで、多くの企業は結果的に、液漏れ修復業務の後でこのテクノロジーの利用の再考を迫られる。
そのような企業の一社であるIndustrial Specialty Services(ISS)社は、Artec Leoを採用することによって、この競争の中で密かに優位に立っている。 当初、この米国の業務用ソリューション提供企業は数種の方法を模索し、担当班は慎重に考慮したのち、その速さ、多用途性、使いやすさからArtec Leoを選んだ。ISS社はそれ以来、後戻りすることはなく、今ではこれまでになく高速に、かつ効率的に業務を行っている。
複雑な作業へのLeoの採用
計測過程のデジタル化という自らの必要性を認識し、ISS社は初めにハンドヘルド式3Dスキャニング業務の提供を行っている外部の会社と連絡を取った。しかし、このような供給企業は液漏れ修復産業特有の需要に精通しておらず、その結果、スキャンデータは関係のないフィーチャのキャプチャや不正確な解像度の使用により、正確に取得できていないことが多かった。
ISS社のエンジニアVPであるクリス・ラーセン(Chris Larsen)によると、同社はこの理由で「携帯性と便利さの点で最高の結果をもたらすが、破産の恐れのない」スキャナを求めて販売市場に戻ったらしい。この際に同社はArtec社ゴールド認定販売代理店であるCADTech USA社と出会い、担当班は驚くほど簡単に使える全自動機器であるワイヤレスのArtec Leoを紹介された。

Artec Leo内蔵ディスプレイであれば、データキャプチャ中にリアルタイムフィードバックを得ることができる。画像は、Industrial Specialty Services社のご厚意で掲載
長さと直径のみが必要な場合は、同社のエンジニアは今でも手作業の手法を利用できるが、非常に複雑、不規則、ねじれている、オフセット、というような特徴を持つジオメトリや、複数の箇所で地面から支えられている配管のキャプチャはずっと難しくなる。Leoはこのような場合に秀でており、求められたレベルでの正確さでのキャプチャをどのテクノロジー機器よりも速く実現する。
「スキャンデータが手に入れば、従来の形式での計測を完了し、二回の計測からの情報を比較した上で確信を持って生産へ進むことができる」と、 ISS社の複合素材・液漏れ修復業務部長のショーン・ピーターズ(Sean Peters)は説明する。「このことでやり直す回数も少なくなり、技術工程も加速化する上、一度でぴったり合う部品の納品にも役立つ」
「Leoなら、現場での作業時間を短縮できる。手作業での計測ツールの利用で数時間かかり、検証のための複数回の訪問が必要だった工程が、今では一回の訪問でキャプチャを完了できる」
スキャンから納品まで
多くの用途において、ISS社の担当班はスキャンデータの処理をたった一時間で済ませ、完成したメッシュをリバースエンジニアリングのためにSOLIDWORKSへ送信することができる。ノイズの多い状況ではスキャンデータの更なるクリーンアップが必要になるが、 Artec Studioであれば迅速にかつ簡単に遂行することができる。

Artec Studio上でのキャプチャ済み配管のジオメトリ。画像は、Industrial Specialty Services社のご厚意で掲載
Artec Studioでは各ステップを加速化するためのスマートベース除去、及び自動位置合わせを利用してマニュアルでデータ処理を行うか、もしくはオートパイロット機能を起動することができる。ISS社の場合は、複雑な作業ではマニュアルでの余分なデータの除去が、そして最終的にはポリゴン数を低減することも必要となる。そうでなければ、ファイルの容量がSOLIDWORKSのようなソフトウェアで扱うにも大きすぎるようになってしまう。
メッシュの仕上げの後、Artec Studioによりエクスポートもワンクリックで行うことができ、他の場所で設計された筺体を目的に確実に合わせるためにデータを利用できる。 今日では、以上の機器は液漏れを扱う顧客、及び先を見越して液漏れしやすい箇所の維持管理を行っている顧客に採用されており、双方とも起こり得る操業停止を免れている。
「通常は筺体を部品の周りにボルトで留め、液漏れを止めるシ-リング剤を注入する。この方法であれば、安全性や環境への影響が無く、操業停止の必要も無い」と説明するのは、ラーセンだ。「もう一つの使用事例は、程なく問題を起こすであろうと思われる箇所で配管が弱くなっていたり、腐食していたりしていることに顧客が気付いたときで、如何なるリスクも冒すことのない形で、事前に筺体を設置することができる」
現地での機械加工への拡張
ISS社の顧客ベースは主に湾岸の精製所や石油化学施設で構成されているが、今では米国中にその場所は広がり、同社は一年三百六十五日、年中無休で産業向け専門事業を提供している。

装具から吊り下げられている間にArtec Leoを使用するISS社のエンジニア。画像は、Industrial Specialty Services社のご厚意で掲載
ISS社は今でも3Dスキャニングを最大限に有効利用する方法を模索中であるが、リードタイムと効率性の向上は既に達成している。技術者とエンジニアが本テクノロジーの使用に馴染んでいく中、更なる機会が生まれることが期待されている。例えば、同社はワークフローの一貫性の改善に努め、他の現地での用途においてのLeoの可能性を吟味している。
「我が社のワークフローが完全に最適化されれば、スキャニングを他の業務領域へ拡げていく可能性が、特に我々のOn-Site Field Machining (現地内機械加工)業務の分野で見出せる」と、ピーターズは締めくくる。「現地で迅速に正確なジオメトリをキャプチャできれば、備品の設計や製作もずっと簡単になり、機械加工作業もより正確に行うことができる。その上、機械加工前後での寸法の確認、及び品質管理の向上にも役立つ」
デジタル製造業が産業環境において定着し続ける中、ISS社のような使用事例は普及の一途を辿るであろう。当企業はガス産業の競合他社よりも先にハイエンドの3Dスキャニングを採用することで業界での最前線の座を確保したが、それは業績を見れば明らかだ。ISS社は、今では時間と精度が必須となる複雑な配管の部品の修復を加速化させ、かつてない速さで特注のソリューションを顧客に納品している。
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