Artec Evaで取得するカスタムのシャーシ設計用の高精度3Dスキャン

課題:最先端技術を駆使して高性能を追求するシャーシ設計スペシャリストが、精度や安全性にこだわりつつ、日々のプロジェクトのワークフローを劇的にスピードアップさせてくれる方法を模索していました

ソリューション:Artec Eva、Artec Studio、Geomagic Design X

結果:Artec Evaで3Dスキャンを行うことにより、数時間から数日にも及ぶ時間を節約しながら自動車のボディ、パーツ、コンポーネントをデジタルでキャプチャします。また、レースやSEMAなどの特別なプロジェクト用に、完全にフィットしてカスタムで構築された、シャーシとFEAが強化された自動車部品を設計します

ディスカバリー・チャンネルの人気テレビ番組であるTwin Turbosの司会者達であるダグとブラッド・デベルティ(Doug & Brad DeBerti)氏とジャック・フィッシャー(Jack Fisher)氏がArtec Evaでスキャンをしている様子

ジェイソン・ハード(Jason Heard)氏は、まるで一睡もしないようです。彼と彼のパートナーであるジャック・フィッシャー(Jack Fisher)氏が長年にわたって作成してきた何百もの高性能シャーシのうち、故障したシャーシはなんと1つもありません。

田園風景を横切ったり、トラックの周囲を猛スピードで走ったりしている際に車に起こりうるほとんどの問題は、特に大規模な追突事故を除けば、ドライバーにとって生命にかかわるものではありません。

エンジンが飛んだり、電気系統が故障したり、トランスミッションが破損したりしても、そのせいで致命的なケースになってしまうことは滅多にありません。その一方で、シャーシの損失になるとほぼ確実に致命的です。

そういう理由から、最新の高性能シャーシ設計は非常に需要がある分野なのです。シャーシのデザインが軽量すぎると、強度と安全性が損なわれてしまいます。しかし、より多くの、より強力な素材が過度に使用されると、パフォーマンスが低下してしまうのです。

彼らがすべてのカスタムシャーシで実現する、究極の強度対重量比を達成することは、Tekk Consulting Inc で働く、南カリフォルニアのシャーシ設計スペシャリスト達がもう何年もやっていることです。

Artec Evaのデジタルレンダリングは、ブラッド・デベルティ氏の「パフォーマンス・トラック」用にカスタムのTekk Consultingのシャーシをスキャンします

業界での彼らの「とにかく良い仕事をしてくれる」という評判のおかげで、彼らはクライアントの予約は数か月も前に入れています。その上、プライベートのクライアントや、複数の主要なOEMなど、業界で名の知れた業者からのプロジェクトも絶え間なく続いている状況です。

しかし、最初はこんな状況ではありませんでした。2018年に、10年以上に渡ってシャーシ設計を手がけてきたTekk Consulting Incは、彼らの仕事の技術的側面にはなんの疑いの余地もない完璧なもので、高水準を維持することで有名でしたが、プロジェクトを完了させるまで常に時間との闘いに直面していました。

Artec Evaでスキャンした1990年のフォード・ブロンコのパーツのデジタルレンダリング

当時、クライアントを追加することは不可能でした。そのため、この非常に競争の激しいシャーシ設計の業界で、最前線に立つという目的のために大量のプロジェクトを引き受けることができませんでした。

そこで、ジェイソン氏とジャック氏は改めてAからZまでのワークフローを精査しました。彼らは少なくとも品質を犠牲にせずに、より簡潔で高速にする方法を探し始めました。彼らが最初にフォーカスしたことの1つは、自動車のボディとパーツ、そしてコンポーネントの測定方法でした。

キャリパーや、巻尺、定規を使用する従来の方法は、確実に正確であることを保証できる方法でした。しかし、それは非常に時間のかかるプロセスであり、すべてのプロジェクトに数時間、ひどければ数日もかかってしまいました。

そんなあるとき、彼らはネットで3Dスキャンを使用して手動の測定方法を置き換えることができる自動車カスタマイザーやショップについて読み始めました。それらはプロジェクトの時間を大幅に節約できる、と彼らは目にしたのです。その後あちこちのウェブサイトを検索していくうちに、Artec 3DのWebサイトにたどり着きました。

そこで、目を引いたのはArtec Evaでした。軽量 のハンドヘルド3DスキャナであるEvaは、毎秒数百万のポイントをキャプチャし、たった数分で自動車部品などの様々な種類のオブジェクトから、高精度3Dモデルを作成します。そこで、彼らは電話を手にし、現地のArtec販売代理店に連絡して、オンサイトでの実演を手配しました。

ハード氏はこう言います。「これだと思いました。実演の最初の15分間で、私達が求めていたものがもう見つかったと感じました。それで、その場で即購入しました。トレーニングなど必要ないくらい、それはとても使いやすいものでした。私たちはそのマニュアルに手さえつけませんでした。それをただ購入して、午後の残りの時間は店内のあらゆるすべてのものをスキャンして過ごしました。その日の終わりには、もう既に私達のワークフローは順調に進んでいました。」

ジャック・フィッシャー氏が2019年にArtec EvaでフォードのSEMAディスプレイのためにブラッド・デベルティ氏のフォードF450の背面をスキャンしている様子

その瞬間以来、Tekk Consulting Incは、ブラッド・デベルティ氏の@ThePerformanceTruckを含む、数百のプロジェクトでArtec Evaを毎日使用しており、自動車メーカーの上位10社や、あらゆる種類のクラシックカーやマッスルカー、そして複数のSEMAプロジェクトなどで働いています。

ハード氏は次のように説明しています。「もしこの業界にいる誰かに聞けば、評判がまず命であると言うでしょう。どんな理由であれ、悪い噂が流れてしまったら、この仕事なんて辞めてしまった方がよいでしょう。安全が全てなので、ズルをせず、消化しきれないタスクは引き受けないことです」

そして彼は続けてこう言います。「Artec Evaは、多くのことをこれまで以上のクオリティで実行する力を私たちに与えてくれます。しかも、精度や安全性をおろそかにせずにです。実際、今では、車体の構造や部品の形状がどんなに複雑であっても、それをデジタルにキャプチャすることができます。高速で、そして正確にです」

ジェイソン・ハード氏が2020年モデルのトヨタ・タコマの車内をデベルティ氏の「 パフォーマンス・トラック」プロジェクト用にArtec Evaでスキャンしている様子

ハード氏はEvaを使用して行うスキャンのワークフローについて説明しました。

「部品とコンポーネントをスキャンするために、中華料理店の小型の回転テーブルのようなものを作成しました。少しでも部品やコンポーネントに光沢がある場合は、ベビーパウダーや、スプレー式のディフューザーを少し使用します。これにより、表面にはたった1/5000インチほどのコーティングがのるだけなので、スキャンのクオリティにはまったく影響しません」

彼はまた、こう続けました。「その後は部品をスキャンするだけです。私はすべてをしっかりキャプチャできるように、一方の側を2度スキャンをして、また他の側も同じように2度スキャンします。コンポーネントの機械部品については、複数のボルト穴の正確な間隔を測定するためだったり、穴自体の測定をしたいときに、マイクロメーターで測定して、それらをGeomagic Design Xで描きます。この方法は非常に簡単で、驚くほど速く仕上がります」

「車体やトラックのキャブ/キャビンの部分をスキャンする際には通常、1つの大きな「ジオメトリパス」としてスキャンします。それは、大きな構造をキャプチャするという意味です。その後、仕上げにあちこち必要な部分をスキャンします。それから、これらを最初のパスのスキャンと位置合わせします。そうしたら、Artec Studioでのスキャンの処理に取りかかります」

デベルティ氏の「パフォーマンストラック」をArtec Evaでスキャンしている際に撮った、Artec Studioのスクリーンショット

彼はArtec Studioソフトウェアで彼が行うプロセスを説明しました:「私は不要なものを簡単に消させてくれる、消しゴムツールを使用します。回転テーブルのベースや小道具など、そのときどのくらい時間があるかによりますけど、自動位置合わせを行ったり、手動で行ったりします。すべての位置合わせが終わったら、グローバル位置合わせなどを行います」

「しかし、大きなキャブや構造では、グローバル登録はせずに、シャープメッシュ化だけをします。全てをまとめるのに完璧に機能して、綺麗な見た目にしてくれるからです」

その後、スキャンをDesign X 、又はSOLIDWORKS 2020にエクスポートし、シャーシを描き始めます。

Artec Evaスキャンから、フォードの9インチサードメンバーの組み立ての3DスキャンからCADに変換したもの。(組み立ては、作成されたリアエンドハウジングを正確に設計するためのもの)

Evaのおかげで、Tekk Consulting Incはトラック(@ThePerformanceTruck)内のスペースを最大化できるようになりました。シャーシ専用チューブはトラックの表面にぴったりと合っています。このおかげで、キャブの内部で余分なスペースができ、運転手の頭はシャーシ自体から十分離れた位置にくるようになったのです。ハード氏によると、それは安全対策の要因として、「非常に大事」なことだそうです。

不運にも車やトラックが横転してしまう状況を考慮すると、運転手は常にシャーシとの間に十分な距離が必要です。Evaにより、彼らはそれを最大限に大きくすることができました。「そして、それは私たちにとって素晴らしい利益です。それは、車やトラックの車体を完璧にスキャンしたことの表れであり、まるで手袋のようにぴったりと合うシャーシを設計することができます。」

Artec Evaでスキャンされた、2座席カンナムのX3シャーシと、サスペンション、そしてコンポーネント

OEMからのCADファイルが必要になったことがあるすべての自動車カスタマイザー達は、それを手に入れるまでどれだけ長い時間がかかってしまうか知っているはずです。さらに悪いことに、プロジェクトの締め切りが迫っていて、クライアントから毎日急かしてくる電話がかかってくるなんてときは、イライラしやすい時期です。

ハード氏が言うには、「仕事に取り掛かる前にCADファイルを延々と待たなければならないなら、厳しい期日を達成することはできません。絶対に無理です。ですが、もう今私たちは待たなくてもいいのです。ポルシェであれ、トヨタであれ、部品のまとまりであれ、自分達でスキャンすれば良いのですから」

GTRモーターをArtec Evaで素早くスキャン

彼は続けてこう言います。「そして、私達がEvaで得たスキャンと、最終的に取得するCADファイルと比較すると・・素晴らしい!の一言です。それらがいかにピッタリ一致するかは本当に驚異的です。毎回そうなのです。最初は驚きましたが、何百ものプロジェクトを経て、だんだんやっと慣れてきました。今では、CADファイルを待つことすらありません。ただ自分達でスキャンをして、即仕事に取り掛かります。それだけで何日も待つ必要がなくなりました」

Artec Evaのスキャン(青)と隣り合わせにされたトヨタからのOEMファイル(黄色)。ブラッド・デベルティ氏のトヨタ・タコマの「パフォーマンス・トラック」用。

クラシックカーとの作業となると、そんなCADファイルが存在することはほぼありません。それが、3Dスキャン プロジェクトを進める上で極めて重要な要素となるときでしょう。ハード氏は、次のように説明しています。「Evaで、私はクラシックカーの部分的なパーツもしくは全体をスキャンすることができます。それでできたスキャンは私のものです。しかも、それは完璧ですからね」

彼はそのスキャンを使用した可能性についてこう語ります。「Geomagicや3Dプリント、CNCミルでそれを好きなように変形できますし、この種の仕事をしている世界中の沢山のショップのどれかにオンラインで販売したりすることもできます。たった1人か2人、もしくは3人の製造業者達で1年に10〜20台くらいの自動車を販売しているお店は、この業界の90%です」

製造プロセスの一部としての工場の製造公差に関しては、キャブとボディをアセンブリ―ラインから率直に3Dスキャンすると、これらも明らかになります。ハード氏によれば、「OEMからのCADファイルは製造公差を考慮していないことは周知の事実です。そういうものなのですよ。」

「アメ車で作業しているなら、1/4 インチの偏差が生じる可能性がありますが、それは許容させる範囲です。非常に高価な外国車の場合なら、おそらく1/8インチになるでしょうね。Evaでのスキャンは、偏差はもっと少なくなります。したがって、3Dスキャン とCADファイルで誤差がみられる場合、このような製造公差を考慮します。

一日に手で測定するよりはるかに多くをスキャンすることができることに関して、ハード氏は次のように考えました。「例えば昨日の朝、フロントサスペンションをスキャンして、真新しいラプターを360度からすべてスキャンをしました。それから、マウントジオメトリに追加された5つのレースシートをスキャンしました。シャーシを描くときに、スキャンをどのCADファイルにも取り込むことができるため、これらのシートは完全にマウントされます。」

キャンナム X3シャーシのカタウェイと、Artec Evaでスキャンをしたフロントコントロールアームとコンポーネント

Tekk Consulting Incは、Evaによる3Dスキャンを熱心に取り入れており、DIYoffroad.comのデジタルマーケットプレイスを介してオンラインでスキャンを販売し始めています。長年にわたり、彼らは世界中の数十ヵ国からの数百にも及ぶ自動車カスタマイザーやシャーシ設計者から連絡を受けてきました。そしてこの市場は年々大きくなっています。

ハード氏は、業界にいるすべての人に、Artec Evaをためらいなく推奨しています。彼の言葉によれば、「私たちがここで行う内容を公開することに関して問題はありません。私達が今まで使用してきた素晴らしいテクノロジーに関する詳細も含めて、企業秘密にはしていません。Evaのおかげで、今日の私達の仕事があるわけですから。おかげさまで仕事の依頼が絶えずありますし、自分達が取り組みたいと思うプロジェクトを選ぶこともできます」

ジェイソン・ハード氏は、将来次のような状況を想定しています。「自動車工場やデザイナーたちはみんな自分達の3Dスキャナと3Dプリンターを持つことになると思います。この市場はすでにその方向に向かっていますし。それは、世界中のスペシャリスト達がデジタルアセットを作成して店舗ですぐに使用できたり、オンラインで他の人に販売できるようになるということです」

Tekk ConsultingによるSEMAプロジェクトの1つである、1933年製フォード・キャブのArtec Evaスキャン

彼はさらに次のように説明しました。「例えばこんなことが可能になりますよ。イタリアにいるある人がEvaを使用して、新しいフェラーリかクラシックフェラーリを好みのパーツやフェンダー、バンパーなどと一緒にスキャンしたとします。すると数時間後、そのすべてを1つのパッケージとしてまとめることもできるし、カスタマイズしてワイドボディキットにすることもできます」

Artec Evaでスキャンした1933年製 フォードとモーター、コンポーネントのデジタルレンダリング

Tekk Consulting Incが行う高性能の設計作業におけるもう1つの側面は、スキャンされたコンポーネントの有限要素解析(FEA)であり、通常は薄いシェルの近似によるものです。これには、パーツの正確な寸法をキャプチャして、パーツの機械的強度と剛性、またはパーツがどれだけ曲がるか、CADでどのように変形するかを分析する必要があります。このプロセスにより、コンポーネントを再設計して、障害点に対処しながら、コンポーネントのパフォーマンスを以前と同じかそれ以上にすることができます。

Artec Evaでスキャンされた部品はCADでFEA作業がされる準備ができています

以前は、これらのコンポーネントを手動で測定しなければなりませんでした。これには、再確認と再測定を含まれていて、大体時間がかかってしまいました。

しかし、今はEvaを手に入れて、彼らはそのような部品を数分で正確に捕らえることができます。コントロールアームからスイベルジョイント、ロールバー、サスペンション全体などの部品です。再測定や二次推定は必要ありません。

FEAの準備ができています:Artec Evaでスキャンをした2020年製フォード・ラプターのサスペンションコントロールアーム

ハード氏はそれが非常に重要である理由をこう説明します。「FEAがどれだけ素晴らしいものであったかは関係なく、たった1インチの誤差だけで、事故の原因になってしまうのです。これらのコンポーネントを数学的に変形させて、障害を防ぎつつパフォーマンスを向上させるなんて方法はありません。それはありえませんね"

彼はまた、こう続けます。「私たちのEvaは、この点に関しては私達にとって非常に革新的なものでした。これから今、私はたくさんの部品を昼食前にスキャンする予定です。結局、最終的な設計が作成するためのすべての分析は完了し、すべてが予定通りにスムーズに行われています」

デベルティ氏のトヨタ・タコマによる「パフォーマンス・トラック」の内部。Tekk Consultingのカスタムシャーシがしっかりと取り付けられています。

Evaが彼らの仕事に与えた影響をハード氏は以下のようにまとめました。「レーシングカーを制作しようとしている際に、以前まで14〜16時間かかっていた段階が今では2〜3時間しかかからないので、それは私たちに大きな違いをもたらしてくれました。それに加えて、Artec Eva使用のおかげで得られた3Dスキャンの精度と安全性も素晴らしいし、良いことづくめです」