Artec Evaが、顔面麻痺とその背後に隠された表情へ迫る

Loretta Marie Perera

要約:Artec Evaスキャンを使用して、顔面麻痺のある人々の顔面について探求し、医療業界、芸術、およびテクノロジーを組み合わせてより理解を深める。

目標: Tate Liverpool 博物館でのインタラクティブな展示会で、スキャンした顔を使ったアートを作成する。

使用されたスキャナー:Artec Eva, Artec Studio

Artistic DirectorのVic McEwanが2019年半ばに Artec Evaを使用して顔面麻痺の患者の顔をスキャンしたとき、彼の目標は新たな視野を広げることでした。 「博士号をもっていますが、顔面麻痺とそれが人々に何を意味するかについても研究の一部でした。当時、私は患者たち、そして世界有数の顔面神経外科医と一緒に研究をしていました」とNew South Walesの The CAD FactoryのMcEwan氏は言います。 「はじめに患者さんの話を聞き、顔のスキャンをしてみることにしたのです。」

Tate Liverpool 博物館で開催されたVic McEwanの「私を知るための時間をつかってくれるなら」の展示では、Artec Evaにより、顔面麻痺の背後にある芸術と感情について焦点があてられています。

顔面神経麻痺–神経損傷による顔の動きの喪失–は、世の中の1.5%の人々に影響を及ぼす症状です。多くの場合、顔の片側で起こるこの喪失は、出生時から存在するか、あるいは後年に起こります。脳卒中や腫瘍の結果、または病気や怪我の副作用などがその原因になります。症状が消えることも、永続的に続くこともあります。顔面神経麻痺は、患者と他者との交流に影響を与えることが多く、他人からどのように受け取られるかという部分に影響を及ぼす場合があります。顔面神経麻痺に苦しむ人々は人に凝視されることも多く、うつ病になる割合も高いのです。

スキャンを始めてみると、より大きな計画がもちあがりました。

「3Dスキャンとソフトウェアの間には大きな隔たりがあると思っていましたが、それとは正反対でした。驚くほどのテクノロジーで、本当に高品質の3次元デジタル画像が取得され、それを使ってその中にある感情のクオリティを調査できることがわかったんです」とSydney 大学の学生は言っています。

Artec Evaは、あらゆる種類のオブジェクトと表面の正確な測定値をキャプチャする構造化されたライト3Dスキャナであり、自動車部品、義肢、子供の頭部、 Barack Obama本人など、あらゆる場面においても安全かつ正確なスキャンを行うことができます。

Tate Liverpool 博物館 から彼の作品を展示するという申し出があったとき、展覧会のコンセプトが大きく広がりました。 「以前に行った作品やまだ制作中の作品を単に表示する以上に、なにか関連性があると感じました。自分の顔に問題があると感じているのは、顔面麻痺を持っている人だけではないことがはっきりわかるのではないかと思ったのです」とMcEwan。 「スキャンすることで、人々と関わるチャンスを持つことができるのです。」

Sydney Facial Nerve Service(シドニー顔面神経サービス)の創設メンバーであり、顔面神経麻痺に特化した理学療法士であるSusan Coulson博士の監督を受けて、McEwanは医学、技術、芸術の世界の共通点を探り始めました。

2020年3月3日から22日まで開催される展示会の中で、Tate Liverpoolの訪問者はこのインタラクティブで多次元の展示会にも訪れることができます。Artec Evaで顔をスキャンし、 スピーディな3Dモデルを作成するソフトウェアArtec Studioで データがリアルタイムで処理されます。その横で、3Dプリンターが動き出し、プリント面を次々と回転させながら、3Dモデルを高速で作成します。各プリントには約6時間かかり、110種類のスキントーンを使用して、個人の正確なパントーンカラーを一致させていきます。作品の中においても、多様性を表現していきます。 McEwanは、以前の作品のいくつかからスタートし、展覧会の終わりまでに最大100の顔をプリントして壁に展示することを目指しています。

顔がスキャンされている間に、同時にプリントも行われるーすべて展示の一部として壁に展示される [写真:Vic McEwan / The CAD Factory]

顔のスキャンと印刷に加えて、いくつかのインスタレーションがさらに展示に興味を抱かせます。スキャン体験について話している患者、医療従事者の感情のウェイトを拡大するオーディオプロジェクトの一環としてスキャン・プリントされる医師、そして患者の顔面モデルから組み立てられた楽器「顔面神経ハープ」ーが、機能していない顔面に声を与えます。

壁の写真画像は、Artec Studioの舞台裏体験とデータの生成方法がわかるようになっています。 「9歳の娘にスクリーンショットを見せたら『わあ、お顔がちょうちょでできてるよ!』って」とその時のことについて彼は回想します。 「[ソフトウェアデータ内であっても]詩的な美しい画像がたくさんあります。」

医学研究、芸術、および技術を統合して、顔面神経麻痺の裏側までディテールを調査する。 [写真:Vic McEwan / The CAD Factory]

3Dスキャンは、訪問者がギャラリーにどのような形で参加するのかを探る方法でもあります。好きな時間に来て、プロジェクトに深くコミットしても観覧者としてちょっと覗くだけでも、好きなようにアートワークに参加することができるのです。

野心的なこのプロジェクトは、国際的な展覧会だったこともあり、さらに多くの課題を提起しました。 「(外国の都市の)スキャナにアクセスし、私のスタジオの一部をオーストラリアから持ってくることからはじめました」とMcEwanは笑います。

リバプールでの展覧会をサポートするのは、Artec 3Dの英国ゴールドパートナーである Patrick Thorn & Co.で、顔や医療のスキャンについては、初めてというわけではありません。 「耳のスキャンや子供の耳のインプラントの3Dプリント、法医学や考古学の顔の再構成など、以前にも顔面のスキャンを行ってきました」とThorn。 「オーストラリアとイギリスのこの大陸横断的なコラボレーションは言うまでもなく、医学と芸術の世界が融合するのを見ることができたのは素晴らしいですね!」

McEwanは、2つの倫理委員会(シドニーでの作業を監督する委員会と大学内の委員会)と協力し、患者の顔のスキャンを承認してもらう必要がありました。

倫理委員会の承認を待っている間に、スキャンされた患者は2人だけでした。シドニーに戻ってから、進行中のすべての患者、医師、および関係するすべての開業医がスキャンされる予定です。これがすべて、将来の大規模な展示会の一部となる予定です。Tateでのアートワークは最終的な展示会の一部となり、最終的には論文と今後数年間で行われるより多くの研究と一緒に発表されることになっています。

適切な3Dスキャナと一緒に使うことができるソフトウェアを見つけるために、McEwanはいくつかの選択肢を検討しました。クリエイティブに利用するためのスムーズなプロセスとオプションに加えて、Evaでのスキャンによる視覚的な効果も魅力的でした。

顔をスキャンする際の芸術的なビジュアル。 [写真:Vic McEwan / The CAD Factory]

「あらゆる種類の3Dスキャンソフトウェアを調べて、作成をしている時に最も美しいイメージが表示されるものを探しました。Artecソフトウェアは再考ですよ。思い描いていたものを見つけられたと思います。美しいから、大きくプリントしたいと思えるんです。」

医学、芸術、技術の重なるこの地点で、人々の顔を3Dスキャンし、しばしば目に見えないものをキャプチャすることで、既に参加型・包括的であったこの展示に、さらに新しい要素が追加されました。

「私は全てがクリアに理解されねばならない医学の世界に入りつつあります。人々は『あなたが測定できないのなら、それは事実ではない』という世界です」とMcEwanは言います。 「そして、私はここでその反対のことを言いましょう。『測定できないものの中に、お互いを理解するために不可欠で、臨床的または実用的なものを超えた情報がたくさんあるんです』と」。

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