ブドウ栽培でのArtec Space Spiderの使用: ブドウの房をスキャンしてぶどうの病気と闘う

概要: 研究者は、ぶどうのつるの菌について、ぶどうの房がきつくなればなるほど、病気の可能性が高くなることを発見しました。3Dスキャンは、この菌と戦うための新しい武器として持ち込まれました。

目的: ハンディ型3Dスキャナを使用して、畑で育つブドウの房をキャプチャ。つる植物の3D点群を作成し、科学者が分析して情報を抽出しました。

利用ツール: Artec Space Spider

古代ギリシアの歴史家トゥキディデスが文明化をもたらしたと主張するブドウ栽培に、Artec 3Dソリューションを適用すると聞いても、あまりしっくりこないかもしれません。

古代ギリシアの歴史家トゥキディデスが文明化をもたらしたと主張するブドウ栽培に、Artec 3Dソリューションを適用すると聞いても、あまりしっくりこないかもしれません。しかし、ブドウ栽培にArtec 3Dソリューションを使用することにより極めて大きなメリットがあることを、最近、研究者グループがその論文の中で明らかにしました。2018年3月発行のジャーナル『Sensors』で発表された研究者の論文は、真菌性疾患(つまり、“房の腐敗”)の問題に取り組んでいます。房の腐敗は蔓延し、作物に被害をもたらしたり、生産量を減らしたりすることはよく知られています。Institute for Grapevine Breeding Geilweilerhofとボン大学の研究者は、房の腐敗を減らし、栽培に適したブドウ品種をより有効に選択できるようにすることを目指し、画期的なイメージング技術を用いた分析を共同で行うことにしました。

この研究のために選ばれたのは、Artec 3Dが誇るSpace Spider 3Dスキャナでした。

この実験中、研究者は、Space Spiderを使ってブドウの房をビジュアル化することにより、植物の特徴を統計的に評価する作業時間が、従来の方法と比較して著しく短縮されることが分かりました。ブルーLEDストラクチャードライト技術を用いたArtec Space Spiderは、使いやすく、スピーディ、パワフルな3Dスキャニングデバイスで、豊かで高解像度のデジタルイメージを生成します。幅広い業界で使用されているこのSpace Spiderは、複雑なジオメトリ、テクスチャ、色を最大3D精度0.05mmでキャプチャします。また、重量1kg未満という極めて軽量な3Dスキャナで、研究室でも屋外でも、同様に能力を発揮します。つまり、Space Spiderは研究者が考えるあらゆる状況で使える、理想的なスキャナと言えます。

この論文では、研究者は“房の小ささ”と“房の腐敗発生率”の相関関係を瞬時に認識しました。この結果を裏付けるように、ブドウの木の密度が濃いほど、腐敗の蔓延する確率が高いことが過去の研究で明らかになっています。実際、多くのブドウ農家も同様の結論に達しており、育成・栽培には、基本的に、よりゆったりとした房構造を持つブドウが選ばれています。

より広い経済的枠組みを考える場合、房の小さな品種を排除することは、房の腐敗による作物へのダメージを最小限に抑えることができるため、収益を高める可能性があります。この研究の表紙では、「世界で最も利益をもたらす品種はブドウ品種(Vitis vinifera L. subsp. Vinifera)だ。」と結論づけています。

一方、ブドウ栽培方法の観点からは、ブドウの房の小型化を防ぐのはたやすい作業ではありません。

第1に、ブドウの木の物理的構成はうんざりするほど複雑な上、多様性に富んでいます。それを可能にするためには、ブドウ農家が細心の注意を払い、各ブドウの木の特徴的な遺伝的構造に起因する無数の物理的特徴に気付かなければなりません。第2に、ブドウの木は“モザイクのような”構造であるため、ブドウの量、大きさ、年齢などの情報をすべて挙げていけば、1つの房だけで膨大なデータとなる可能性があります。International Organization for Vine and Wineは、ブドウの各特徴に基づき、ブドウ形態を分類するポイントシステムも公表しています。それにもかかわらず、このようなスコアベースの方法では、予測不可能な時間数と人的資源が必要となります。しかも、最も望ましくないことに、そのようにして最終的に得たデータは、研究者により主観的なもので、人為的ミスも多発している可能性があります。

データ取得とパラメータ抽出のためにこの研究で使用されたブドウの房

一方、Artec 3DのSpace Spiderを使えば、ブドウの木の構造を飛躍的により効率的かつ客観的に分析することができます。研究室では、研究者がSpace Spiderを使い、10個のブドウの画像をキャプチャしました。その際には、回転速度を変えて10回スキャン処理を行いました。これにより、回転速度を変えることにより異なるポイント密度が明らかになり、研究者はSpace Spiderのデータ出力の正確度を検証することができました。Space Spiderで房の3Dポイントクラウドを再現し終えた研究者は、ブドウの房の情報(ブドウの実の大きさや量)を抽出するための専門ソフト「3D-Bunch-Tool」を使ってデータを分析しました。

3D-Bunch-Tool(別名、“3D-BT”)は、修正されたアルゴリズムをベースにしています。このワークフローは3ステップで行われます。まず、処理を開始する前に高解像度ポイントクラウドの解像度を下げ、計算時間を短縮するようにします。次に、クラウドポイントを“領域”別に区分し、一般的に各領域を1つのブドウに制限します。最後に、RANSACベースアプローチを使って、データに基づく球面モデルを構築します。ブドウの房のデジタルビジュアル化は最終段階で調整できます。

3D-Bunch-Tool(3D-BT)によるグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)

Space Spiderが生成したポイントクラウドデータを使って3D-BTを実行した後、3Dを使ったブドウの木の特性データとグラウンドトルースデータを照らし合わせました。研究者は、実験のこの段階の統計データ比較により、データセットには高い相関関係があるという嬉しい発見をしました。つまり、3Dデータと実際のデータの間の差は極めて小さいものだったのです。

また、研究者は、この3Dスキャニングテクノロジーを使うアプローチでは、大幅にコストを削減し、時間を短縮できることも確認しました。ブドウの木の特性評価メソッドを比較した研究者は、「房の大きさや実の数に従い、[他のメソッドで]全工程を行うには1房あたり平均で10分かかります。そのため、非常に労働集約的で侵襲的です。一方、Artec Spiderとデータストレージを使ってポイントクラウドを取得すると、1房ごとに平均で1分しかかからないため、作業は10倍早く進めることができ、パワフルで非侵襲的なアプローチです。さらに、房の3D構造におけるアーキテクチャの調査も可能にしてくれます」と断定します。

3Dポイントクラウドを取得するイメージベースアプローチは新しいものではありませんが、これまでは、極めて高額なレーザーテクノロジーを使用し、侵襲的な手法の適用が必要になる場合が多く、コストの高さと制限により、興味を示す研究者は多くなく、そこがArtec 3Dイメージングソリューションに惹かれた理由であると、この論文の研究者は述べています。特に、研究者はSpace Spiderの高汎用性と非侵襲的を高く評価し、「Artec Spiderを使って現場で直接房をスキャンすることは、3Dで房の特性を非侵襲的かつスピーディに取得する機会を促進しています」と言いました。

ブドウ畑で表現型検査パイプラインを使用

さらに、Space Spiderは軽量で持ち運びに便利なこともプラスに作用し、事実上、あらゆる環境や研究形態(現地調査を含む)で使うことができます。実際、研究者はこれらのイメージベースメソッドを現地調査、特に、幅広い品種の植物寿命の大規模プロット比較評価の分野で使うことに大きな可能性を見出しています。Space Spiderなどの3Dスキャニングソリューションに頼ることで、研究者は長期間、さまざまな環境状況におけるブドウの木の生育状態を追跡・監視することができます。

ブドウ農家にとっては、この3Dスキャンメソッドにより、ブドウ品種の選択と栽培をより確信を持って行うことができるようになります。真菌性疾患や腐敗の蔓延に対して積極的な予防策を講じることで、生産量を高めることができます。これらすべては、21世紀の3Dイメージングソリューションを2000年以上の歴史を持つブドウ栽培技術に適用するだけで可能になっています。

全引用文の出所: http://www.mdpi.com/1424-8220/18/3/763/htm

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