3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

Artec Evaが正確な胸部容積計測の常識を破る ソリューションに

課題:ポーツマス大学の科学者たちは、胸部の健康とブラジャーの科学研究のための胸部容積の計測を正確に行うことのできる、非侵襲的で素早く簡単に扱えるツールを必要としていた。

ソリューション:Artec Eva及びArtec Studio

結果:胸部容積は、実際の値と計測値の最大誤差が〇.八%という精度で、正確に計測された。処理における誤差も〇.一%で、誤差の総計は最大〇.九%であった。

なぜ、Artecなのか:Artec 3D社製のソリューションは世界中の医療用途に対し、医療専門家や研究者に素早く安全で非侵襲的なスキャニング用ツールを提供する掛け替えのない機器となっている。

Breast health research

正確な胸部容積測定のためのArtec Evaによるスキャニング

興味深い事実:胸部は、人類に特有のものである。五千にも上る現存の哺乳類すべての中で、永続的に胸部を持ち、その重要性を社会的、文化的文脈の中で確立しているのはホモ・サピエンスのみである。自然と生命力の力強い象徴であり、身体性、性別、官能性、そして女性としての自覚と結び付く多次元の概念でもある胸部は貴重な特質を持つ反面、限られた注目しか浴びることの無い、非常に脆弱な属性をも有している。

胸部の健康に対する人々の認識や態度は非常に複雑であるため、胸部のケアに対する公衆衛生上の新たな取り組みの計画や、人々の関心を高めていくことが難しい課題となる国も多い。このことを考慮した上で、ポーツマス大学の胸部健康研究グループ(Research Group in Breast Health at the University of Portsmouth)は、胸部の健康の科学的知識を向上させ、胸部関連の製品の開発を促進することで女性の生活の質を向上させる、という高度な目標を設定した。

胸部支持の女性の幸福に対する重要性を理解する

ジョアンナ・ウェイクフィールド・スカー教授(Professor Joanna Wakefield-Scurr)の下の科学者グループは、胸部の生体力学やブラジャーの科学、胸部の健康に関する国際的な学術論文で評価を得ており、そのことがきっかけとなり、世界の主要な女性用肌着やスポーツ用衣料製造企業の数社との共同事業も行っている。その中の代表的なプロジェクトの一つが画期的な胸部容積計測であり、これは、異なる環境や職業における胸部支持、及び胸部の測定や苦痛の軽減には非常に重要となる。

胸部の採寸は、胸部の変化の検知、脊髄や筋骨格系への負担の程度の把握や起こり得る傷害や痛み、不快さの回避に役立つ。

「胸部容積の正確で客観的な計測は外科的処置において必須なものであるが、胸部の健康やブラジャーの科学の研究でも同じように重要である」と、上級研究員のジャクリーン・リックス博士(Dr. Jacqueline Rix)は説明する。胸部の採寸は、胸部の変化の検知、脊髄や筋骨格系への負担の程度の把握や、起こり得る傷害や痛み、不快さの回避などに役立つ。

博士の研究では、女性の八割以上がサイズの異なるブラジャーを装着しており、胸部を適切に支持できていない状態にあると報告されており、この事実はブラジャーの適切な装着を女性に認識させる必要性を更に強調している。また、研究班は、従来の胸部の採寸方法では胸部に合ったブラジャーを提供するには不十分であることを明らかにしており、胸部に「ぴったり」適合させるための一連の基準を提唱した。このことを実現するためには、班は巻き尺よりも更に進歩した方法を導入する必要があった。

正確な胸部容積の計測のための3Dスキャニング

この研究班が行っている研究内容の多くにおいて、胸部容積の正確で信頼性のある計測は必須となる。そのための適切な方法を探す中、生体力学の上級講師であるクリス・ミルズ博士(Dr. Chris Mills)は、その速さと多用途性で定評のある構造化光3DスキャナであるArtec Evaを試すことをした。Artec社のゴールド認定パートナーであるPatrick Thorn & Co社は二〇一七年に大学でEvaの実演を行っており、それが研究上での協力関係の始まりとなった。

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その後、数年の間、研究班はEvaや複数の異なったバージョンのArtec Studioを利用し、当時はベータ版であったArtec Studio 17を試用した、初めてのプロフェッショナルにも数えられることになった。リックス博士は、こう回想する。「私はテクノロジーには疎いので、プロジェクトの開始当初は(スキャナの取り扱い方を覚えることに)とても不安であった。しかし、この機器はとても簡単に使用でき、非常に使いやすい。失敗することの方が難しいくらいだ」

Artec Evaは良く知られているように、安全で素早く、正確な作業を行うことが可能で、使い易くもあるため、世界中の医療施設で人体のスキャニングに利用されている。そのため、研究員はこれまでのように、高いレベルでテクノロジーに詳しくなるために時間を割く必要はない。このかつての状況は、この分野において高度な技術の使用を躊躇わせる原因となっていた。このスキャナはコンパクトで軽量であるため、人体のキャプチャのスキャニング工程には驚くほどの自由度がもたらされる。

ミルズ博士は、「Evaは、ハンドヘルド式で持ち運び可能である。胸部は人それぞれ、形状もサイズも違うので、スキャンの際にその形状全体を確実に取り込もうとすると、終始動き回らなければならない。Artec Evaの精度の高さは確認済みなので、他の機器に乗り換えることはおそらくないだろう」と話す。

この実験当初、研究班は、Evaの保証する最高で百分の一ミリの精度が自身の行う計算に十分であるかどうか、また、スキャナの処理技術がその計算に影響を与えるかどうかを確認する必要があった。そのため、班は計測時のエラーの総計を得ることにより、スキャナの精度を査定することにした。

状況を一変させる処理能力

研究班は既知の容積を持つ工作用粘土(Play-Doh、米国ロードアイランドのHasbro社製のモデリング用粘土化合物)をスキャンし、Artec Studioのオートパイロットモードにより取得したデータの処理を行い、ベースを除去し、穴埋め(Fix Holes)タブで粘土の胸部のデータに穴埋めを施した。研究班はその容量の値を計測(Measures)タブで得た後、その値を使用された粘土の実際の容量と比較した。実際の容量と計測値の違いは、容量五百三十五~七百十五ミリリットルの間の粘土では最大〇.八パーセント(三.八ミリリットル)、最小〇.二パーセント(一.三ミリリットル)であった。

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プロジェクトの第一段階:スキャナの正確さを査定するための、既知の容量を持つ工作用粘土のスキャン

「我々がまず把握したかったことは、3Dスキャナにより既知の容量を持つものをスキャンした場合、同じ容量値を得ることができるのかという点であった。そこで、我々は工作用粘土を使用することから始めた。初めに容量二百三十五ミリリットルの粘土を使用し、その容量を十五ミリリットルずつ増やしていきながら、千ミリリットル、一リットルを超える容量を持つ粘土までを対象に調査を行ったが、その精度は驚くべきものであった」

しかし、人間の胸部は平面上にある均等な形状のものとは異なるため、研究班はEvaで人体をスキャンして、胸部容量の予測の程度を評価できるよう、プロジェクトへのボランティアを募った。スキャニングを行う前には、研究班はボランティアの胸の境界に印を付け、Evaで胸部のスキャンデータを取得し、胸を胴体部から区切る形で処理を行った。この過程は、五回繰り返された。

「どの容量のものも、計算での誤差はすべて一ミリリットル以内という結果となり、これは驚異的であった」

「我々はペン状のアイライナーを使用し、胸の周りに非常に細い線を描き、その線で胸の部分を胴体から区切った。結果を同じ状態で得るため、我々は同じ参加者のスキャンデータを使用した。この過程では、胴体から胸部をアイライナーで区切って消す作業を繰り返し、処理と計算を合計五回行った。その結果によると、計算での誤差はすべて一ミリリットル以内に納まっており、これは驚異的であった」と、リックス博士は説明する。

Artec 3D社からの協力を得て

研究班が強調したのは、パトリック・ソーンおよび彼の業務班(Patrick Thorn)からの素晴らしい支援であった。「当社は現在使用中のArtec Studioのバージョンの現時点での限界を明らかにするために、Artec社の技術者チームと密接に情報交換を行うことができ、同社はArtec Studio 17の処理機能を大幅に改善させた」と、ソーンは語る。「この改良により、胸部容積の予測におけるエラーは四.二パーセントから〇.一パーセントへと減少した」

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Artec Studioでの胸部のスキャンデータの処理

胸部の容量を参加者に痛みやストレスを与えることなく、素早く非侵襲的に取得できるようになったことから、この喜ばしい結果は、遥かに多くの計測の機会へと繋がった。正確で信頼性のある寸法を得られることは研究班にとって大きな意味があり、手掛けるプロジェクトは多くの女性のためのブラジャーの快適性、支持性への提案と改善、及び胸部に生じる痛みの軽減に大いに役立っている。

「我々は企業に、より実用的で、より装着しやすく、より快適なブラジャーを製作する方法を考案し、女性に実際に役立つ製品の開発を行うよう働きかけている」

その国内、国外両方での驚くべき評判のため、研究班は大学のコミュニティや特別研究員と共同で調査を行ったり、特定の専門分野での契約を締結したり、ブラジャーがスポーツに携わる女性の選択肢に加えられるべき専門的な備品であることを提唱するために、数々のスポーツチームと共同で活動を行うまでになっている。

「我々はブラジャーの価値観を全く変えることを目指しており、女性が自身の職業やスポーツの際に最も快適なものを選び、必要な程度での胸部の支持を可能とできるよう、活動を行っている。また、我々は企業に対しても、より実用的で、より装着しやすく、より快適なブラジャーを製作する方法を考案し、外見が良いだけではなく、実際に女性に役立つ製品の開発を行うよう働きかけている、とも考えている。私が思うには、当分野でのこのテクノロジーの可能性は計り知れない」と、リックス博士は結論付ける。

女性への適切なソリューションの提供に焦点を当てている研究班は、この分野では間違いなく、最先端の方法論を扱う第一人者であると言え、科学や技術、革新の究極の目的は、人々の暮らしをより良くしていくことに尽きる、という事実を裏付けている。

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