3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

Artec Leo及びRayを用いた、ルクセンブルグの航空救難ヘリコプターの3Dスキャニング

課題:実物大の航空救難ヘリコプターを車輪止めから回転翼、さらに外観のすべてのディテールまでを三脚据え付けの長距離のレーザースキャナ及びプロフェッショナル用ハンドヘルド式3Dスキャナで3Dスキャンすること。それに加え、取得されたスキャンデータを基に、完全な3Dモデルを創り上げること。

ソリューション:Artec Leo、Artec Ray及びArtec Studio

結果:全ての3Dスキャニングは格納庫内で実行され、所要時間は両方のスキャナでも十一時間に満たなかった。その後、数日間の間に、スキャンデータは本物と見紛うようなヘリコプターの3Dモデルへと変身を遂げた。この結果、処理済のデータはリバースエンジニアリングから品質検査、空力解析などに至るまで、あらゆる種類の航空宇宙分野での用途に何時でも使用可能となった。

なぜArtec 3Dなのか:Artec Leoの携帯性や画面上表示、及びArtec Rayの広いスキャニング視野により、ヘリコプターはその全体を正確な形で簡単にキャプチャされ、Artec Studio上で処理された実物に近い3Dモデルが完成した。

国家112緊急時コールセンター(the national 112 emergency call center)を通じて援助を求める連絡が入った瞬間に、ルクセンブルグの航空救難隊(Luxembourg Air Rescue、LAR)のマクドネルダグラス製MD-902エクスプローラーは空高く舞い上がり、十分以内に国中のどんな場所へも到着することができる。一九九六年の採用時から、この非営利組織のヘリコプター部隊はこれまで、三万以上の飛行任務に使用された。

特別な人道的任務以外にも、LARの六機のMD-902ヘリコプターは緊急事態の対応で頻繁に使用され、ルクセンブルグ国内やその都市圏での集中治療患者の病院間の搬送にも使用されている。

患者を医療用搬送するために準備を行うルクセンブルグ航空救難隊

多様な可能性を持つ最先端のヘリコプター

現在、MD-902は世界中で見受けられ、捜索、救助、警察、軍隊や軽微な用途、その他のあらゆる種類の役割を担っている。そのため、このヘリコプターには異なる構造や装備が操縦室や客室の中などの内部や、機体上などの外部両方に施されている。

操縦室には特別な航空電子機器一式や戦術ディスプレー、ダッシュボードが装備されていることもある。軍事的な役割に当たる場合は、MD-902にはドアに据え付けられたガトリング砲や直径70㎜のロケットポッド、機首下部のFLIRセンサーなどの装備を持つように改造されている機種もある。

リバースエンジニアリングや品質検査、空気力学流動シミュレーション(数値流体力学、CFD)検査などの用途のために、ヘリコプターや固定翼航空機のような大規模のオブジェクトのキャプチャを行う際に3Dスキャニングテクノロジーを採用する構想を実践するため、ルクセンブルグ航空救難隊は同じくルクセンブルグを拠点とするArtec 3D社と提携し、マクドネルダグラス製MD-902 エクスプローラーのスキャンを行った。ヘリコプターは、最新のプロフェッショナル用3DスキャナであるArtec LeoとArtec Rayの二機種によりスキャンされた。

Artec LeoとArtec RayによるMD-902 のスキャン

一日で、二台の3Dスキャナを使用して

オンボード処理、後部にタッチスクリーンを備えた他に例のないタイプの、容易な使用が可能な3DスキャンであるArtec Leoは、ケーブルやバッテリーパック、接続したラップトップも必要とせずに、中規模から大規模のオブジェクトのスキャンに力を発揮する。

Artec Leo

最高精度0.1㎜を持つLeoはそのテクスチャカメラにより、複雑なレベルのサーフェスジオメトリや全ての種類の色彩のキャプチャに優れている。LeoはMD-902全体を、その機首から尾翼までスキャンするために利用された。

このプロジェクトで使用されたもう一つのスキャナであるArtec Rayは、三脚に据え付けられた長距離用3Dスキャナで、大規模のオブジェクトのキャプチャ用に設計されている。 

Artec Ray

計測業水準のミリ単位以下の精度を持ち、その作業距離は二メートルから百十メートルにまで及ぶRayは、交通事故現場や犯行現場などの領域や場面全体は言うまでもなく、車両からバスや巨大なヨットまで、すべての種類のオブジェクトをスキャンすることが可能である。

MD-902の徹底的なスキャン

ルクセンブルグ航空救難用マクドネルダグラス製MD-902の実際のスキャンでは、Artec Rayは主に位置合わせの目的で使用され、ヘリコプター周辺の複数の箇所において、低い位置から八種、上面から八種の、合わせて十六のスキャンデータの取得に利用された。このスキャニング過程での作業時間は、開始から完了まで三時間以下であった。

MD-902の機体をキャプチャするArtec Leo

次の作業にはArtec Leoが使用され、ヘリコプターの全長三十四フィート(10.39m)のミリ単位以下の精度の、重複部分を含む二十六のスキャンデータを最も細かいディテールもキャプチャしながら取得するまでに要した時間は、約八時間であった。

Artec Leoを用いたMD-902の側面のスキャン

処理段階でのスキャンデータの位置合わせとグローバル位置合わせをより速く行うため、揮発性の3Dスキャニングスプレーを使用して、追加のテクスチャのフィーチャが適用された。

途上で発生した若干の課題

スキャニングにおいては、まず、MD-902の底面のスキャンの際にいくつかの難点が生じた。格納庫の床からヘリコプターを持ち上げるリフトを使用しなかったため、機体の下へ這っていきながら、地面から上向きですべてのスキャニングを行う必要があった。

Artec LeoによるMD-902の機体の下面のスキャン

そのような狭い場所での作業では、ヘリコプターの機体までのスキャニング距離が短く、場所によっては13インチ(350㎜)しかなかったため、Leoを90度の角度で構えることが時折、難しくなった。

もう一つの課題は、ヘリコプターの回転翼をスキャンする作業であった。翼部分に近づくには、ルクセンブルグ航空救難隊の移動式昇降作業台(MEWP)の使用が必須であった。 回転翼は非常に長く、薄く黒いもので、トラッキングを円滑に進めるための特徴的なフィーチャが見当たらないため、様々な部分でマスキングテープを貼り付ける必要も所々で生じた。

Artec Leoでどんなディテールもすべてキャプチャ

MD-902の窓をキャプチャする際には、生憎スキャニング用スプレーの使用は不可だった。代わりに、作業チームは同様の形の窓を持つ、近くに格納されていた試乗用ヘリコプターの窓へのスプレーとスキャンを許可された。その後、窓のスキャンデータはMD-902の窓枠部分に簡単に添付された。

スキャニング作業が完了すると、データはその後二週間をかけてArtec Studio上で処理され、改良、位置合わせの後にすべてが組み合わされ、幅広い用途に使用できるミリ単位以下の精度を持つ3Dモデルが完成した。

Artec Studioソフトウェア上でのArtec LeoとRayで取得したスキャンデータの位置合わせ

簡単になったスキャンからCADへの変換

MD-902のような航空機に対しては、非常に長い時間を要し、計測者によるミスが起こりがちな手作業での計測や、不正確や不完全な可能性のある設計原図を基にした作業を行うよりも、スキャンからCADへの変換ソリューションを使用し、航空機の3Dモデルを正確なCADモデルへ変換する方が、遥かに簡単で速い。Artec Studioソフトウェアは、この過程の可能な限りの効率化に役立つよう設計されたツール一式を提供している。

スキャン対象がMD-902やリアジェットであっても、その大きさに関わらず、LeoやRayによる3Dスキャンデータなら様々なCADシステムにエクスポートが可能で、正確なCADモデルをスケッチし成形するための信頼できる参照モデルとして使用することができる。

上から見たArtec LeoとRayのスキャンデータから作成されたMD-902の3Dモデル

そして、ヘリコプターの新しい内装(操縦室及び・若しくは客室のスキャンデータを考慮)と外部形状の設計においては、CADモデルはすべての取り付け箇所、ボルトの穴、リベットの位置、それに構成部品や設計要素を設置するためのスペースの大きさを正確に示す形で完成された。

生産中止、若しくは入手困難なパーツのリバースエンジニアリング

数十年前に生産された航空機の定期的な飛行や管理をしている組織や企業では、リードタイムが数週間や数カ月の長期に亘ったり、生産中止になったりする可能性のある、極めて重要なパーツや部品が必要となる事態が生じる。

そのような場合、無数の航空機のパーツには、CADソリューションとArtec LeoやArtec Space Spiderのようなスキャナでの3Dスキャニングによりリバースエンジニアリングを施すことができ、完成した部品は必要に応じて、積層造形やキャスティング、CNCフライスやその他の技術により製作可能となる。

横から見たMD-902の3Dモデルの回転翼部分

その上、そのような3Dスキャンデータにより作成されたCADモデルは、FEA(有限要素解析)との相乗効果により、最適化された、市販では入手できない航空機のパーツを設計製造するために使用可能となる。

改造用であっても、将来のための改善用であっても、リバースエンジニアリング用の3Dスキャニングは航空宇宙分野での大規模、小規模両方のニーズに対し有効で、実証済みのソリューションである。そのテクノロジーが毎年急速に発展するに伴い、より軽量で、より強度の高い、より値段の手頃なパーツの作成、そして、将来的には、機体や翼全体の作成も可能となっていくだろう。

3D航空機の品質検査

軽飛行機からヘリコプター、旅客機に至るまでのどんな航空機でも、何十から何百の飛行を毎年行う場合は、激しいヒョウを伴う嵐や硬着陸、鳥がぶつかる際の衝撃やその他の衝突により、機体外部に多少の損傷を受ける運命にある。

そのような損傷を正確に素早く計測し数値化することは、損害保険のためだけではなく、修復作業の範囲を把握し、運用中断時間を最短とするためにも極めて重要である。

至近距離から見たMD-902の3Dモデルのノーター(NOTAR)尾翼部分

MD-902のように、ヘリコプターやその他の航空機を3Dスキャンすることにより取得した3Dスキャンデータは、サーフェスのArtec Studioによる品質検査をソフトウェアのサーフェス距離マッピング機能を使用して行う際の基準モデルとして、簡単に使用することができる。

外部のジオメトリにおけるどんな損傷や変化も、ミリ単位以下のものでさえも、識別の簡単なヒートマップを使用すれば、即時に可視化することが可能である。スキャンデータは、更に大掛かりな検査のためにGeomagic Control Xへエクスポートすることも可能である。

数値流体力学空力解析用のスキャニング

航空機の空気力学を検査し把握するのは、燃料効率や飛行性能の改善のための最適化への第一歩である。今日では、CFD(数値流体力学)検査は航空宇宙メーカーだけでなく、個人所有者や企業所有者にとっても、これまで以上に実行可能なものとなっている。

以前は高価で複雑な過程であった検査が、今では必要に応じて、簡単に実行に移すことができるのである。開始する際に必要なものは、前述のArtec Leoのスキャンデータから作成されたMD-902の3Dモデルのような、対象となるヘリコプターやその他の航空機の正確な3Dモデル、若しくはCADモデルのみである。

 

その上で、数々の設計変数、機体形状の下で、どんな航空機の空力性能のモデル化や研究も、大気条件の範囲内で可能となる。

航空機設計者などにとって、この利点は多数ある。新しい機体形状を持つ仮想的なプロトタイプモデルなら、実際の機体を製作していた従来のように数週間や数カ月も費やすことなく、数日のうちに完成することができる。

その上で、プロトタイプの飛行検査段階において、機体の大きさによりArtec LeoかArtec Rayを選択して使用し、生じている金属疲労や衝撃損傷、その他の構造的変化を明らかにするため、3D品質検査を行うことができる。

まとめ

検査では数日間のスキャニングや、それ以上かかる、膨大なデータの3Dモデル作成用の処理を行うことになる可能性があるが、この小さな、事前の時間や労力の投資は、ヘリコプターやその他の航空機の運用期間中に、一台であっても航空機部隊全体であっても、多くの利点をもたらすことにつながる。

今日の世界においては、より少ない出費でより素早く、簡単に高度な耐性を示す結果を得ることは、すべての人の思惑でもある。航空宇宙やその他多くの需要のある分野では、Artec LeoやRayのようなプロフェッショナル用の3Dスキャナやソフトウェアにより3Dスキャニングを行うことは、この目的を達成する手助けとなる。

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