ダンディー大学のメディカルアート科でみられるArtec 3Dスキャナの使用用途

課題:メディカルアート科の学生に骨や骨格、そして教育用の解剖モデルをデジタルでキャプチャしてもらい、本物そっくりな3Dモデルに変換してもらうこと。

ソリューション:Artec Eva, Space Spider, Artec Studio, ZBrush

結果:メディカルアート科の学生は、メディカルイラストレーターとしての仕事の基盤になる正確な3Dモデルが必要です。ダンディー大学は、さまざまなアプリケーションで使用できる3Dモデルを簡単に作成するための、最先端の3Dスキャナの2つである Artec EvaSpace Spiderの使い方を学生に教えます。

体がウイルスにどのようにして感染してしまうのか、また体はウイルスが気道に忍び込むのをどう防ぐのかなどを表すアニメーションをご覧になれば、メディカルイラストレーターの仕事に感心するはずです。医学とヘルスケアの分野は、過去一世紀に亘り、急激に複雑になりました。

ダンディー大学メディカルアート科の学生がArtec Space Spiderでスキャンをしている様子

メディカルイラストレーターは、その複雑なすべての姿、形を視覚的に理解できる図や画像、ビデオなどの有形または記憶媒体に変換する専門家です。

ダンディー大学メディカルアート科による、内耳のさまざまなコンポーネントのイラスト

ダンディー大学の メディカルアート科 は、大学院生にこの拡大し続ける領域にあるすべての必須項目に触れさせる12か月間のコースを提供し、将来の医療イラストレーターを訓練させ、このような刺激的な仕事への準備をさせています。現在利用可能なテクノロジーと科学、そしてビジュアルコミュニケーションの最新の進歩により、この非常に人気の高い職業に就くには今が最適な時期であると言えます。

ダンディー大学メディカルアート科による、腎疾患の3Dモデル

メディカルイラストレーターとは通常、解剖学の訓練を受けたアーティストです。彼らの作品が医師の手に渡る場合、患者の生死に関わるため、作品は見た目が良いだけでなく、医学的に正確でなくてはなりません。これが、適切な解剖学教育がメディカルアートの教育において重要な理由です。

人間の足の3Dスキャンを使用して、この足の解剖図が作成されました

実際に医療のイラストが使用される一例は、子供がご両親と一緒に医師の診断や治療のオプションの説明を聞く時です。ご両親にとってこのような緊張した瞬間は、お子さんにとって恐ろしく、混乱させるものであることが多いのです。しかし、メディカルイラストレーターの仕事は、医師がこのような状況を突破するのを手伝ってくれます。

例えば、同じ医者が彼女の机から離れ歩いて行き、そのお子さんの高さのレベルで座っていると想像してください。彼女はiPadをそっとタッチして起動させ、ご両親と一緒にお子さんの状態を表すカラフルなアニメーションや、さまざまな手続きのオプションを見ることができます。この理解しやすい説明方法のおかげでお子さんの肩はリラックスし、医師はきっと安心して深いため息をつくでしょう。

また別の例は、手術のシミュレーションです。医科大学らは、医学生が使用するさまざまな外科的介入の非常にリアルなAR(拡張現実)およびVR(仮想現実)のシミュレーションの開発と統合を始めています。このようなシミュレーションは、解剖学的な正確度と精度に関する厳しい基準を備えた、現在のメディカルイラストレーターの仕事のおかげで成り立っています。

ダンディー大学の学生がVR環境に触れ合っている様子

これらのシミュレーションの間、医師は仮想メスやドリルなどのツールを使用して細かい運動能力を磨き、そのシミュレーションの経験を自分の脳と体に記憶させるよう努めます。もし彼らが取り組んでいる仮想患者の3Dモデルが解剖学的に正確でなかったならば、医師は本番での手術が実際の患者に正しく実行できない可能性があります。

これらのシミュレーションでは、より現実味を高めるためにVRヘッドセットの他に触覚デバイスの使用を特色とすることがよくあります。これには、ユーザーが同じ動きをし、手術に必要な正確なレベルの圧力をかけることが物理的に必要になります。それから得た結果は非常に有望となっています。

2019年にUCLAのデイヴィッド・ゲフィン医科大学院で実施されたある研究によると、そのようなトレーニングを経験し、VR手術のシミュレーションに参加した医学生は、さまざまな分野にわたって大幅にパフォーマンスが向上し、従来の外科的方法によるトレーニングを受けただけの学生よりも成績が130%も高いことが分かりました。

メディカルイラストレーターが作品を作成するにあたって必要となる3Dモデル を入手するためには、いくつかのオプションがあります。従来の方法は3Dモデリングでした。ダンディー大学のメディカルアート科には、この種のアートを学生に紹介し、しっかりしたレベルの技量が必要になるときにそれを取得させる方法を教えるクラスがあります。

しかし、通常3Dモデリングでは3Dコンテンツを作成するために非常に長く、多くの段階を踏むことになります。また、人間の骨格系や筋肉系などの有機的な形状に関しては、ベテランの3Dモデリングの専門家でさえ、これらのオブジェクトをデジタルでキャプチャする際に何かより効率的な方法がないか、常に模索しています。

そんな方法の1つが3Dスキャンです。ハンドヘルド3Dスキャナ があれば、未経験の学生がいかに早く、そして簡単にそれを手に取ってオブジェクトのキャプチャを数秒で開始できることを知ったダンディー大学は、それをすぐさま採用しました。その結果は言うまでもありません:解剖学的なイラストレーション、VR 又はAR医療アプリケーション、および3D印刷で即利用できる科学的に正確な3Dモデルができるようになったのです。これはまるで、美術館の訪問者が全く新しい形でさまざまな貴重な標本を手に入れ、そして体験できる状態と言えるでしょう。

Artec 3Dのゴールドパートナーであり、3Dスキャンの専門家のパトリック・ソーン(Patrick Thorn)氏によって行われた、Artec EvaとSpace Spider の2つの3Dスキャナの実演の後、ダンディー大学のメディカルアート科のコーディネーターであるキャロライン・エロリン(Caroline Erolin)博士は即決しました。

彼女はこう言います。 「私達は人間の骨や動物の標本など、さまざまな有機構造をデジタルでキャプチャする必要があります。そしてそれをすばやく簡単に行って、これらのスキャンをVRや3D印刷に対応する素晴らしい3Dモデルに簡単に変換することを求めているので、私達の基準は高かったのです」

ダンディー大学のメディカルアート科の学生がArtec Space Spiderで人間の頭蓋骨をスキャンしている様子

エロリン博士はこう続けました。「しかし、パトリック・ソーン氏によるArtecスキャナの最初の実演を見て、もう私達の理想のスキャナは見つけたと思いました。私達の学生は、これまでにスキャンや3Dモデルの経験が一切なくても、ほんの数分でそれを使用してスキャンを開始できるのです。キャプチャ中のオブジェクトがとても速く、鮮やかなカラー3Dで画面に表示される瞬間は、最高に楽しいと感じます。」

この大学はその後、メディカルアート科専用にArtec Evaを1つとSpace Spiderスキャナを3つ、そして 3Dスキャン処理ソフトウェアとして世界的に名の知れたArtec Studioのコピーを数十個購入しました。

パトリック・ソーン氏は、次のように語っています。「キャロラインさんやこの大学の方達と働き始めてすぐ、このArtec 3Dのスキャナは彼らにとってあきらかに最適であると感じました。この大学でこのスキャナを必要としている学部がそれに気がつくのに時間はかかりませんでした。そして彼らはすぐにArtec 3Dスキャナを選択してくれました。これは素晴らしいコラボレーションだと思いますし、私がそれに関われたことを誇りに思います。」

ダンディー大学のメディカルアート科の学生がArtec Evaを使用してクラスメートをスキャンしている様子

現在、ダンディー大学のメディカルアート科におけるArtec EvaとSpace Spiderのスキャン用途:

  • 人間の頭蓋骨 (法医学と考古学の両方で顔の再構成を支援する目的)
  • 公共関与、教育、研究のための動物学および比較解剖標本
  • 小児骨学のための壊れやすいコレクションを保存し、それらを壊さないような方法で教育に使用できるようにする
  • 教育および研究用の成人骨学や骨標本
  • これらの3Dモデルの一部は、修士課程のメディカルアート科の学生によって(ZBrush / Mayaでモデル化された筋肉とともに)適応されたり追加がされ、解剖学の教育資料を作成します
  • 修士課程のメディカルアート科の学生に3Dスキャンとそれを処理するスキル全てを教示する
  • ワックスなどの従来の素材で作られたスキャンモデル(主に学生の授業用)

エロリン博士は、このスキャナが生徒にとっていかに有益であるかをこう説明しました。「学生が私たちの学科を卒業する頃には、Artec EvaとSpace Spiderを使用して数十時間を費やしたことになっているでしょう。彼らはこれらの素晴らしいデバイスを操作する経験を得て、わずか数分でフグから人間の頭蓋まで、どんなものでもデジタルでキャプチャできるようになります。それから、これらのスキャンを段階的に3Dモデルに変換していき、さらなるメディカルアート作品にする準備を整えるでしょう。これには、教科書のイラストや、オンラインアニメーション、仮想博物館の展示などのVR環境が含まれます。もちろん、研究者や博物館の訪問者が実際に使用するためにこれらの標本を3D印刷することだって可能になるでしょう。私達の学生はこれら全てを、いや、もっと多くを学ぶのです」

Artec Space Spiderでスキャンされたフグの3Dモデル(Sketchfabより)

こちらがダンディー大学の学生によるメディカルアート作品を紹介しているオンラインポートフォリオです。

美術館のコレクション用に使用される3Dスキャンの安全性に関して、エロリン氏はこう言います。「私達がキャプチャするオブジェクトの多くは、非常に物理的に壊れやすく、損傷を受けやすいので、私達はそれを避けるために非常に気をつかい、なるべくオブジェクトに触らないようにしなければなりません。Artec EvaとSpace Spiderはこの実例に最適です。彼らの構造化光は、繊細な動物標本をスキャンしていても、数千年前の化石をスキャンしていても、絶対に安全でデリケートです」

ダンディー大学のメディカルアート科がArtec Space Spiderからのスキャンを利用して作成したイラスト

エロリン博士は続けました、 「スキャナがオブジェクトをキャプチャする速度を考慮すると、経験の浅い学生でも、半日もあれば数十個の標本を安全にスキャンできますよ。博物館にとって、それは混乱を最小限に抑え、利益を最大にしてくれることを意味します。近年、多くのものがオンライン事業に移行しましたが、特にここ数か月間、世界中で発展してしまったあの問題のおかげで、それがさらに加速しています。Artecは、私たちのコレクションをデジタルの世界に持って行く手助けをするための、最も重要な鍵でした」

Artec Evaでスキャンした、アフリカのフォレスト・エレファントの頭蓋骨の3Dモデル(Sketchfabより)

「どのくらい人々の関心がオンライン動物学コレクションにあるのかというと、例えばダーシートンプソン博物館はコレクションの一部しかまだデジタル化していませんが、すでに世界の数十か国から20,000人を超える仮想訪問者が私達の3Dモデルを観にきてくれました。しかも、未だにその数は増え続けているのです」

「このくらいのレベルのアクセスがあると、スコットランドに直接来て展示物を訪れることができない何千、何万人もの人々に私達のコレクションを見ていただけるだけでなく、博物館自体の宣伝にもなりますし、地元と海外両方から多くの注目を浴びることになります。凄まじく忙しい現世界における近代美術館にとって、より多くの注目を集めるということは本当に貴重なことです」

Artecのスキャナがこの大学で使用される際に最も魅力的なポイントは、生徒達が技術を取得するまでに時間があまりかからないことと、生徒達が簡単にスキャン処理用のソフトウェアであるArtec Studioを使いこなせるようになってくれることです。Artec Studioは、スキャンを3Dモデルに変換するための重要なステップです。

ダンディー大学のメディカルアート科の学生がArtec Space Spiderで下顎骨をスキャンしている様子

エロリン博士は彼女らのプロセスを説明しました。「スキャンのワークフローは次のようになります。まず、オブジェクトをEvaもしくはSpace Spiderでスキャンをして、サイズに応じてオブジェクトを部分的に分けてキャプチャをします。ほとんどの場合、Artec Studioのデフォルト設定を使用しますが、表面が暗く光沢のあるオブジェクトなど、扱いにくいオブジェクトの場合は、スキャナの感度を調整する場合があります。次に、[ラフ位置合わせ]と[ファイン位置合わせ]を実行し、スキャンを調整します。この後、[グローバル位置合わせ]を行い、次に[消しゴム]と[外れ値の除去]ツールを使用して、少し整えます」

「私達は通常、保存しなければならない細かい解剖学的な構造を持つ頭蓋骨などのオブジェクトを扱うときに、[シャープメッシュ化]を適用します。その一方で、顔やより滑らかなオブジェクトをスキャンしている場合は、[スムースメッシュ化]を使用するほうが効果的です。[スモールオブジェクトフィルター]と[高速メッシュ単純化]を適用した後、[メッシュ化]で使用されるスキャンからテクスチャを作成し、テクスチャマップを含むOBJとしてJPGまたはPNGとしてエクスポートします。その後、ZBrushで仕上げを行います」

「メッシュを再構成したりカットしない限りは、UVマップを失わずにZBrushでモデルをスムーズにすることができます。また、テクスチャマップをPolyPaintに投影し(モデルのジオメトリを少なくとも1回は分割して、ポリカウントを増やしてください)、調整してからPolyPaintから新しいテクスチャマップを作成することもできます」

ダンディー大学のメディカルアート科の学生がArtec Evaを使用してクラスメートをスキャンしている様子

エロリン博士はこの種の職業と3Dスキャンについて以下のように考えています。「メディカルアートの分野とアーティスト達の未来はとても明るいと言えるでしょう。今こそ、この成長していく分野に関わることができる、エキサイティングな時期です。Artecスキャナのようなテクノロジーが利用できるようになった今は特にそうです。それらは有機的な形状を持つ、複雑な現実世界に存在するオブジェクトを、多くの人が思うよりも速く簡単に3Dモデルに変換することを可能にします」

「個人的には、これらの標本が3Dで実現するのを見ることは衝撃です。そして、このような3Dモデルは医学的にも法医学的にも正確で完全なアートワークを作成する上で、重要なコンポーネントです。それは、世界中のメディカルアーティストだけでなく、現在と将来の学生にとって言えることです」

豊富な3Dモデルを手元におけることによる、思わぬ利点が最近明らかになりました。新型コロナ対策により今年の授業が突然キャンセルされたことは、通常の授業が遠隔学習用のオンラインクラスに移行されることを意味しました。エロリン博士によると、3Dモデルを学生と共有するためのウェブベースのプラットフォームをいくつか検討した後、ダンディー大学の解剖学と人間識別センターは、3D解剖モデルを配布できるよう、 Sketchfab を選択しました。プラットフォームの使いやすさと教育機関へのサポートが決め手となったようです。

Space Spiderを使用して作成された、Sketchfab上にあるワックス状でできた解剖学的な3D頭部モデル

使用するモデルは、ZBrushの組み込みのアップローダーを介して直接アップロードできます。また、Sketchfabのホームページのアップロードボタンを使用してアップロードすることもできます。アップロードが完了したら、「3D設定」タブを使用して複数のパラメータを変更することができます。以下が、変更が可能なパラメータの例です。モデルの配置と視野の設定/大学のロゴが入ったカスタムの背景の追加/照明の調整/光沢や透明度などの物質プロパティの設定/注釈の追加/VRでモデルを表示するための設定。

Space Spiderで作成されたSketchfab上の人間の3D骨盤モデル(付属の筋肉はZBrushで強調表示されています)

3Dモデルは付随するテクスチャマップと共にアップロードできますが、Sketchfabは頂点カラーも読み取るため、テクスチャマップが利用できない場合に非常に役立ちます。プロアカウントを使用すると、プライベートモデルを導入することができます。これは特定の対象者だけに制限したい、より機密性の高いスキャンを扱う際に非常に便利です。さらに、Sketchfabを使用すると、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で作業を簡単に共有できます。Sketchfabに導入させると、3Dモデルをウェブサイトやソーシャルメディアにも簡単に導入させることができ、3D印刷用にダウンロードすることもできます。

ダンディー大学での 3Dスキャンの使用 は大成功を収めているため、英国内外の他の大学や教育機関にArtec 3Dスキャナが推奨されることが多々ありました。一方、メディカルイラストレーター学会(IMI - Institute of Medical Illustrators)の組織メンバーとして、エロリン博士はPatrick Thorn&Co社に定期的なイベントに参加するように依頼しました。最新の会議は、2019年10月にアイルランドのベルファストで開催された2日間の会議でした。

2日間のイベントの間、パトリック・ソーン氏のワークショップは大盛況を呼び、参加者らはArtec Leo、Space Spider、Evaの3つのArtec 3Dのハンドヘルドスキャナを試してみる機会も設けられました。そのワークショップのタイトルは、「顔の再構成を補完するための3Dのキャプチャ」と、「3Dスキャン - 医療写真をさらに活用するための支援」です。

「キャロラインと大学はArtec 3Dにとっても私たちにとっても利益のある関係になれました」とソーン氏は言い、「これはスコットランドの大学や企業全体で非常に多くの製品導入に役立ちました。」

Artec 3Dスキャナがダンディー大学の他の学部でどのように使用されているかについてのストーリーは、こちらからご覧下さい:

https://www.artec3d.com/cases/artec-goes-arctic

https://www.artec3d.com/cases/anatomical-3d-visualization-at-university-...