3Dスキャンソルーション

新たに発見されたヘレニズム時代の陶器の起源特定にArtec Spider IIを活用

課題:新たに発見された2点の陶器の装飾を分析し、紀元前200年から100年頃のトルコに存在した同一のヘレニズム陶器工房に由来するものかどうかを検証すること。

ソリューション:Artec Spider II、Artec Leo、Artec Studio、Blender、Cloud Compare、Agisoft Metashape、地理情報システム(GIS)

結果:非常に精細なアーティファクトの3Dモデルを作成し、2点が同一工房の作であることを確認できる十分な解像度を実現しました。今後のAIを活用した考古学分析に向けて、重要な先例を打ち立てることができました。

Artec 3Dを選ぶ理由:Artec Spider IIは極めて微細なディテールもキャプチャすることができるため、精巧な表面加工が施された小型の物体のスキャンに最適です。Artec Studioは、文化遺産の保存や記録、さらなる分析など、あらゆる用途においてリアルな3Dモデルの作成を驚くほど簡単にします。

Hellenistic pottery

陶器は考古学者にとって、いわば宝の山です。状態よく保存された陶器は、過去の社会の文化や慣習、身分の表現方法など、当時の人々の暮らしを垣間見る貴重な手がかりとなります。こうした出土品を分析する際、刻印や銘文が重要な鍵を握ることが少なくありません。

アムステルダム自由大学アムステルダム大学のデジタル考古学者、ドリース・ダームス(Dries Daems)氏とジッテ・ワーヘン(Jitte Waagen)氏もまさにその例で、ヘレニズム時代の型成形の浮彫り鉢の分析に取り組んできました。紀元前200年から100年頃に広く普及したこれらの陶器には、独特の装飾が施されています。しかし、さまざまな刻印を組み合わせて作られていたため、装飾のパターンは無限と言っていいほど存在し、産地の特定は容易ではありませんでした。

そこでワーヘン氏と彼が率いる4D Research Labのチームは、新たなアプローチを考案しました。現代のトルコにある発掘現場、テュルクメン・カラホユックで新たな破片が発見されました。この発掘はシカゴ大学のジェームズ・オズボーン(James Osborne)氏とアンカラのビルケント大学ミケーレ・マッサ(Michele Massa)氏が指揮しています。これを受けてワーヘン氏らは従来の手法を捨て、3Dスキャンによる装飾の分析に切り替えるとともに、通常は地上測量に用いられる技術を応用して個々の破片が一致するかどうかを検証することにしました。

Spider II: アーティファクトのデジタル化に最適

従来、考古学的発見物は手作業でスケッチされ、計測器具で分析されてきました。しかし近年は、デジタル技術の活用が徐々に広まっています。フォトグラメトリは、撮影した写真や動画から3Dモデルを生成する手法として普及が進んでいます。とはいえ、時間がかかる上に最適な撮影環境を整えることが難しいという課題もあります。

こうした問題を解決するため、ワーヘン氏はArtec Spider IIを用いて破片のデジタル化を行いました。これは、Artecアンバサダーである4Cから提供された超高解像度の3Dスキャナでした。最新のプロジェクトでは、鷲の装飾が施された破片と、別の場所で発見された破片が一致するかどうかの検証に取り組みました。

Hellenistic pottery

トルコの遺跡発掘現場で発見されたヘレニズム時代の陶器の破片。画像提供:ドリース・ダームス氏、アムステルダム自由大学

作業チームは5ミクロンの精度を持つArtec Micro IIの使用も検討しましたが、最終的にはSpider IIの柔軟性と高精度なデータ取得能力を選びました。Artec Studioのリアルタイムフィードバックのおかげで、その選択が正しかったことはすぐに明らかになりました。この青色光を使ったハンドヘルド型スキャナは、凹みから微細な成形の細部まで、あらゆるディテールを驚くほど的確に捉えました。

「Artecの3Dスキャン技術は、まさに前例のないレベルの精細さを実現します。もちろんフォトグラメトリを用いることもできますが、この状況でははるかに時間がかかります」とワーヘン氏は説明します。「Spider IIを使ったワークフローを構築した結果、1日に18から22点のスキャンが可能になりました。手作業で陶器を処理する人と比べると、装飾のない陶器であれば決して多い数ではありません。しかし他の手法と比較すると、個々の破片に残った指紋に至るまで、はるかに微細な痕跡が確認できます!」

GIS地表面マッピングによる革新

データはArtec Studioで取得・処理され、ソフトウェアのX線可視化モードを使って初期検査が行われました。ただし詳細な分析には、どの痕跡が刻印によるものでどれが経年劣化によるものかを見極める必要がありました。実際には、モデルを「平面化」して「照合」することでのみ、この作業が可能になりました。

Hellenistic pottery

Artec Studioに表示されたヘレニズム時代の陶器破片の3Dモデル。画像提供:アムステルダム大学 ジッテ・ワーヘン氏

位置合わせはBlenderで行われ、モデルを正確に重ね合わせて比較できるようにした後、Cloud Compareで生成された点群間の相対距離を比較しました。さらにこのデータをAgisoft Metashapeに取り込み、「デジタル地表面」の標高モデルを生成しました。

地理情報システム(GIS)を用いてモデルを地形図のように重ね合わせることで、「標高の変化」を効果的に照合できました。表面の傾きにわずかな差異はあったものの、2つの破片は概ね同じ装飾を持つことが確認されました。鷲の羽根、くちばし、爪といった細部まで、形状・向き・大きさが完全に一致しており、同じ文様を持つ型から作られたことがほぼ確実と考えられます。

これらの破片が同一のヘレニズム時代の工房に由来することをほぼ証明したワーヘン氏は、現在AIを用いた分析の自動化に取り組んでいると言います。

「おそらくモデルの簡略化が必要になるでしょう。ただ、3Dモデルから形態的特徴を抽出し、機械学習モデルに入力するという構想です」とワーヘン氏は続けます。「最終的な目標は、同じ刻印や形態を持つ陶器が新たに発見された際にそれを識別し、どの時代のものかを判定できるモデルを構築することです。少なくとも類似点を示せるようにしたいです。こうしたプロジェクトはすでに始動しています。私たちにはAIのベストプラクティスを先駆けて開発できる機会を得ていますから」

「現地発掘」やその他の機会

ワーヘン氏の研究はヘレニズム時代の陶器にとどまりません。Artecの3Dスキャン技術が大きな変革をもたらした数多くの考古学プロジェクトにもまた、彼は携わってきました。

ミュンスター大学のミヒャエル・ブレーマー(Michael Blömer)氏が指揮する古代都市ドリケでのプロジェクトでは、Spider IIを用いて貴重なローマのミトラ神殿(ローマの神ミトラスを祀る神殿)のデジタル化に成功しました。チームは壁面に刻まれた精緻な銘文をデジタル化し、3Dスキャンデータは今もその解読を容易にし、これまで不可能だった意味の解明に貢献しています。

Hellenistic pottery

Artec Spider IIで3Dスキャンされているローマのミトラ神殿。画像提供:アムステルダム大学 ジッテ・ワーヘン氏

これらのプロジェクトの多くでは、位置合わせを容易にするためにカスタマイズされたターンテーブルが活用されています。しかし、すべてがそう単純なわけではありません。特に驚くべき発掘の一環として、コチ大学のラナ・オズバル(Rana Özbal)氏とトルコのオランダ研究所のフォッケ・ヘリットセン(Fokke Gerritsen)氏が指揮するTell Kurdu(テル・クルドゥ)の発掘では、ワーヘン氏はトルコ政府が手を加えることをためらっていた8000年前の足跡に遭遇しました。Artec社の3Dスキャン技術により現場でのデータ取得が可能となり、作業を妨げることなく発見物を記録することができました。

なお、アムステルダム大学は完全にワイヤレスのArtec Leoも保有しています。ワーヘン氏によると「Leoは大型の物体に最適」で、「その携帯性が非常に気に入っている」とのことです。

実際、このデバイスは非常に高速で直感的に操作できるため、発掘と同時進行でのスキャン、つまり遺構が掘り出された直後に現場を即座に記録する作業にも活用されています。こうした取り組みは、デジタル考古学が古代と現代を最もエキサイティングな形で結びつけていることを示しています。

本研究は3D-CERA-MLプロジェクトの一環として実施されました。このプロジェクトは、考古学的な分類と解釈を支援するため、3Dモデルと機械学習アルゴリズムの統合に取り組むもので、アムステルダム自由大学のドリース・ダームス氏が主導し、ジッテ・ワーヘン氏が統括するアムステルダム大学4Dリサーチラボとの共同研究でした。

3D-CERA-MLプロジェクトの詳細については、こちらからご覧いただけます。

こちらの記事をメールで送信いたしますか?

Artec 3Dから最新のオファーやアップデートの通知をいち早く受けましょう

ストーリーの背景で活躍するスキャナ

世界最高峰のポータブル3Dスキャナをお試しください。

カートに追加されました