ヨーロッパ有数の自然科学コレクションを3Dスキャン

モスクワのステート・ダーウィン・ミュージアムのマルチメディア・テクノロジー部は、Artec Eva 3Dスキャナでその収蔵品をスキャンしています。教育目的で使用できる展示品のインタラクティブなプレゼンテーションを行うために、これらの3Dモデルを使用します。

ステート・ダーウィン・ミュージアムはチャールズ・ダーウィンの種の起源理論を説明する、ヨーロッパ有数の自然科学博物館です。数千点にものぼる展示品1つひとつに、歴史があります。この博物館では約40万点に及ぶコレクションを収蔵しており、メイン展示場で5000点を展示しています。残りのコレクションは特別展示場や期間限定展示、または他の博物館へ貸し出した際の特別展示でご覧いただけます。

2017年、この博物館のマルチメディア・テクノロジー部はArtec Evaを使ったコレクションの3Dデータ化プロジェクトに着手しました。このようにして作成された3Dモデル100点は、sketchfab.comの博物館プロファイル上でご覧いただけます。また、この博物館では、3Dモデルを使ったインタラクティブなマルチメディア展示用3Dコンテンツや、YouTube上の博物館のチャンネルにアップロードされる動画も作成中です。

博物館のアミール・アクティアムジアン上級研究員は、Artec Evaを使った感想を次のように述べています「Artec Evaを使ってスキャンしました。このスキャナは0.1 mmという素晴らしい正確度でキャプチャします。このスキャナは、博物館が収蔵する中型から大型のコレクションをスキャンでき、非常に汎用性が高いソリューションでした。さらに、形状だけではなくテクスチャもキャプチャできるのがとても助かりました。このスキャナはストラクチャードライトテクノロジーを採用しており、テクスチャを均等にキャプチャすることができるため、後処理として色や明るさを調整する手間が最小限に抑えられました。また、このスキャナはコンタクトレステクノロジーも採用しているため、非常に壊れやすいものや老朽化したものでも、ターンテーブルの上に乗せて、そのままスキャンすることができます。そのため、収蔵品に直接触れずに、かつ、環境に優しい方法でスキャンすることができます」

Artec Evaでスキャンしたホラアナグマの頭蓋骨

この博物館の収蔵品のスキャンプロジェクトでは、まず、骨学標本からスタートしました。骨学とは骨格を研究する学問です。これまでのところ、博物館に収蔵されている動物の頭蓋骨14点がスキャンされ、その中には、絶滅した大型の原猿、メガラダピスの頭蓋骨や、後期更新世に生息し、約1万5,000年前に絶滅したホラアナグマの頭蓋骨などがあります。

さらに、博物館の鳥類学コレクションの標本もスキャンされ、ペリカンやキジ、ダチョウ、ペンギン、フクロウなど、さまざまな鳥類の3Dモデルが約80点作成されました。この中で、1844年に絶滅したオオウミガラスの剥製の標本も作成されました。世界には、74体のオオウミガラスの剥製がありますが、ステート・ダーウィン・ミュージアムではそのうちの1体を収蔵しています。

Artec Evaでスキャンしたオオウミガラスの剥製

この博物館は、最近、短毛動物のちょっと変わった剥製の標本を複数入手しました。アフリカに生息しているツチブタの標本をその1つです。体、特に尾っぽ部分はカンガルー、先細りする鼻面はイノシシ、長い耳はうさぎ、というように、この動物の外観は複数の動物に似ています。また、全身に角状のプレートをいくつもつなぎ合わせたかのようなセンザンコウ。この恐ろしい外観にもかかわらず、センザンコウは昆虫、アリやシロアリを主食としています。

アフリカに生息している短毛動物、ツチブタの剥製

この博物館のスタッフは、現在でもサイエンスヒストリーや法医学で使用される頭蓋骨の復顔術を開発した科学者、ミハイル・ゲラシモフ博士が作成したネアンデルタール人の胸像と彫刻もスキャンしました。 ゲラシモフ氏が手がけた(スフール洞窟、ラ・フェラッシー洞窟、ステインハイム洞窟、ジブラルタル-1で発掘されたネアンデルタール人の)5つの復顔の彫刻がスキャンされました。胸像をスキャン後、サーフェス加工を行い、肌の質感やシワを加え、口や目の穴が彫り、SSSシェーダーを使って本物の皮膚に似せました。その後、ブレンドシェイプやスカルプティングの手法を使って表情が加えられ、ネアンデルタール人の生き生きとした表情を再現しました。こうして完成したのが次のモデルです:

ネアンデルタール人の頭部の復元モデル

ステート・ダーウィン・ミュージアムは、石膏ポリマー3Dプリンターを使った博物館コレクションのプリントも始めました。3Dスキャナは、3Dデジタルコピーの共有や、プリントした作品の展示など、博物館に新しい道を開いています。ステート・ダーウィン・ミュージアムでは、スキャンした収蔵品をプリントしたものを含め、すべての展示をご覧いただけます。

この博物館では、今後も収蔵品を3Dスキャンし、3Dモデルを作成してソーシャルネットワーク(Facebookなど)上にアップロードしたり、マルチメディアファイルを作成したり、博物館でインタラクティブな展示に活用したりする計画です。3Dコンテンツにより、観客はデジタル化したスペースの仮想現実に没入することができ、よりインタラクティブで、より面白い方法で科学を学び、知識を得ることができるようになります。

ラ・フェラッシー洞窟で発掘されたネアンデルタール人のArtec Evaによるスキャン

ステインハイム洞窟で発掘された女性のスキャンモデル

3Dスキャナを使用したことにより、インタラクティブな展示やゲーム、学習アプリケーション、3Dプリント用データベースに使えるユニークで本物そっくりの“モデル”を活用し、全く新しい方法でこの博物館を楽しむことができます。

本ケーススタディのために、ステート・ダーウィン・ミュージアムのアミール・アクティアムジアン上級研究員とドミトリー・オルシャンスキー マルチメディア部長に資料をご提供いただきました。Artec 3Dはこの場をお借りして感謝申し上げます。

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