3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

Artec Leo、並びにRayでキャプチャされたデジタル複製版がエンドウ豆加工効率を劇的に改善

課題:より多くの割合の新鮮な生鮮青果物の活用が可能となるよう改善されたシステムを現地に効果的に設置できるよう、不安定な旧式のエンドウ豆生産ラインを調査すること。

ソリューション:Artec Leo、Artec Ray、Artec Studio、及びSOLIDWORKS(Mesh2Surface プラグインと共に)

結果:Artec 3D社製スキャニングを採用し、 同社は工場の生産現場を一日のうちに正確にデジタル化し、工場内の機械モデル周りの選別用機構の改善を実現した。

なぜ、Artec 3D社なのか:Leoの速さと多用途性、Rayの視野、そしてArtec Studioの高度な編集性能により、Dodman社は施設全体をキャプチャした上で双方のスキャナからの最高レベルの解像度のデータを利用し、他に並ぶもののないほどのディテールを備えたデジタル複製版を作成することができた。

Patrick Thorn Digital Twins

Artec Leo及びRayでキャプチャされたDodman社のエンドウ豆生産ラインの3Dモデル

サンデーローストを平らげようとしているときに真っ先に頭を過ぎることではないかもしれないが、自然食品が食卓に並ぶ前には、そのほとんどが大幅な加工を必要とする。

もちろん、この確認や仕分けの度合いは食品の調達方法によって決まり、極めて小さい野菜やエンドウ豆のようなマメ科の植物の場合、販売店へ届ける過程はかなり複雑なものとなる。摘み取り機や脱穀機で鞘から振り落とされた後、豆は仕分けされて洗浄された上、殺菌のために急激に加熱、冷却される。

殺菌が一旦終わると、豆は消費者の方々に最善の状態で届けられるよう、 色選別機や金属探知機、X線検査機により入念に検査される。

しかし、それでさえも、売り物になる豆の栽培が思惑通りの結果を迎えられるわけではない。変わりやすい天候や植物病害はその品質や生産量に大きな打撃を与えることがある。素早く冷凍や真空包装を行わないと豆は新鮮さを失い、低水準の缶詰の中身として市場に出回ることになる。

それでは、十分な量の品質の良い豆を市場へ出荷できなくなった場合、どう対処すれば良いのだろう。正にこの質問を抱えていた取引先に接した食品加工企業のDodman有限会社は同社のワークフローの整備を支援し、より効率の良いものを立ち上げた。 その際に利用したのは、Artec社製の3Dスキャニングによりキャプチャされた工場のデジタル複製版である。

エンドウ豆加工に完璧さを追い求めて

イングランド東部の本社を拠点として操業するDodman社は、国内の最先端の食品ブランド向けの高品質の加工システムの設計、構築、並びに導入を誇りを持って行っている。同社は既に自身のワークフローに3Dスキャニングを統合し、コンベアーから生産ラインまでに亘るあらゆるものを再設計しており、この取引先のエンドウ豆仕分け上の問題に十分に対応できるようになっていた。

とは言え、イギリスはヨーロッパにおいて最大のエンドウ豆生産国であると同時に消費国でもある。平均的なイギリス人は年間九千粒もの豆を食しているため、缶詰食品の供給企業であるDodman社の取引先は需要に追いつくために、既に手一杯の仕事を抱えている。欠陥のある機械では仕事が捗らないため、同社はDodman社に連絡を取り、貴重な在庫品の損失を食い止める新たなシステムの設置を打診した。

通常、Dodman社は Artec社ゴールド認定パートナーであるPatrick Thorn & Co.社より購入した、ワイヤレスでハンドヘルド式のArtec Leoによって複雑な機械類をスキャンした上でリバースエンジニアリングを行う。冒頭に行われたオンラインでの実演に感嘆した同社の担当班は後に、 光沢のある鉄製のコンベヤーの現地でのキャプチャ、及びそのデータのCADモデルとの比較が如何に簡単であるかに驚いた。その機器は、正に求めていたものであった。

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Dodman社担当班の3Dスキャニングにより得られたデータの最適化を支援する、Artec社ゴールド認定パートナー、パトリック・ソーン(Patrick Thorn)

しかし、取引先の施設の規模から、Dodman社は当初、そのデジタル化をLiDARスキャナであるArtec Rayにより試みた。 この長距離用3Dスキャナを利用することにより工場の生産現場全体をキャプチャすることができたものの、高い場所のプラットフォームやその他のバックグラウンドノイズが機器の微細なディテールへの視界を遮っていたのである。

この問題に対処するため、Dodman社はRayと共にLeoを使用を開始し、重要な設備の高精度のデジタル化を迅速に行った。デザインエンジニアのアンディ・チェイス(Andy Chase)によると、このワークフローは進行に必要となる正確で多重解像度のデータを収集するための完璧な『処方箋』であると判明したようだ。

「最高で僅か二ミリの極めて高水準の精度が得られたが、これは現在の設備の不安定さを考慮すると素晴らしいことである」と、チェイスは話す。「領域全体を調査したが、我々は製品の移動も担当していた。当社製の新しい生産ラインでは水漏れを防ぐ必要があり、これを怠ると取引先の損失に繋がった。このことを唯一可能にしたのはArtec Leoであり、お陰で当該領域を完全に詳細な形で確認することができた

デジタル複製版を用いた調査

この改良された生産ラインの中心となるのが、取引先のエンドウ豆用色選別機であった。新しいプラットフォームのデザインとタンク内の豆を取り上げるためのポンプ装置の案を講じたDodman社は、この案が現存の装置に適合するかを見極めない限り、導入は不可能であることに気付いた。

ここに登場したのが、Artec社製の3Dスキャニングであり、正確なデジタル複製版の作成、及び仮想的な工場の生産現場の調査、計画に対する複製版の利用を可能とした。従来のレーザーと巻き尺による工程は何週間もの時間を要し、それも単純な区画ごとの寸法しか測定することはできなかったことに比べ、LeoとRayによる完全なキャプチャの所要時間は僅か五時間であった。

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Artec Studio上のDodman社のArtec LeoとRayによる3Dスキャンデータ

3Dスキャンデータキャプチャ及び処理用ソフトウェアであるArtec Studio上でのデータ編集においては、 Patrick Thorn社もDodman社の担当班のスキャンデータの最適化の実現に大いに貢献した。同社はソーンと共に、プログラム上の異常値の除去機能、及び消しゴムツールが位置合わせに失敗したフレームの削除に利用でき、 メッシュ単純化機能でエクスポート用にファイルサイズを縮小できることを発見した。

「このソフトウェアに慣れる間、パトリックには非常に助けていただき、データ処理の効率化のためのコツや秘訣もいくつか紹介してもらった」と、仕事仲間の設計エンジニアであるジャック・タッカー(Jack Tucker)は付け加える。「バックグラウンドノイズが多く発生していることに気付いたことがあったが、情報の照合はかなり難しくなり得るものの、Artec Studioのクロッピングツールを利用することで位置合わせ後に不要なデータを除去することも非常に簡単になった

編集が完了すると、工場のメッシュはCAD設計プラットフォームであるSOLIDWORKSへ転送され、機器類の分離、移動、構築が可能となるよう、Mesh2Surfaceアドオンを利用してリバースエンジニアリングが施された。結果として、工場の新しい生産ラインの緻密なデジタル複製版が完成し、正確な適合状況の確認、及び機能の作動状態のモデル化に利用された。

「長距離用のRayにより比較的広範囲の領域をキャプチャした上で、携帯性がより高く正確なLeoで更に微細なディテールを追加することにより、今では従来よりも大規模の驚くほどリアルな3Dモデルを完成させることも可能となった」とソーンは語る。「Dodman担当班の工場内処理スペースの導入を支援できて嬉しい気持ちであり、同社が今後、どのような状況に3Dスキャニングやデジタル複製を採用していくのかが楽しみで仕方がない」

LeoとRay:同じ鞘の中に並んだ豆のように

LeoとRayを併用したことが非常に功を奏したため、タッカーは現在、更なる多重解像度での生産ラインのデジタル化向けの用途に双方を利用している。前述の取引先のエンドウ豆のプロジェクトはDodman社がRayを初めて利用した業務であったため、今回は更に向上した結果を待ち望んでいる。

しかし、同社の3Dスキャニングを用いた活動は調査のみに限ったものではない。 現在までに、同社はあるカスタマーのためにこのテクノロジーを数種の機材のリバースエンジニアリング及びアップグレードに利用し、化学薬品混合容器をデジタル化してその効率性を向上させた。

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Dodman社が作成したもう一つの3Dモデルである、化学薬品混合容器

タッカーは、工場内でLeoはDodman社の計測効率をも『毎週』改善していて、これは特に狭い、物が散在している空間でや、『時間がかかるため、ディテールの欠如に繋がり兼ねない』コンベヤーを切り替える作業の際に顕著である、と付け加える。

「プロジェクトが展開するうちに、スキャンに相応しいとは思っていなかった領域やディテールを実際にスキャンしている自分に気付き、そういったオブジェクトが結果的にスキャン対象に加わったことに気付く。手作業では変更を加えようと思うもののみを計測するが、3D スキャニングでは、プロジェクトや設計の方針が変わったとしても、すべてのディテールは既にキャプチャされているので問題とはならない」と、タッカーは締めくくる。

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