Artec 3DスキャナとGeomagic Freeformソフトウェアで患者さんに合わせてカスタムメイドした胸部インプラントを作成

概要: 従来、胸部変形症の患者のためのインプラントを作るには石膏鋳造やCT スキャンが必要でした。しかし、この方法はどちらも煩雑な上に不正確なものでした。3Dスキャンの到来により、すべてが変わりました。

目的: ハンディ型3Dスキャナを使用して、患者の解剖学的にも正確なデジタルモデルを作成。このモデルを利用して、最小限の時間で患者への負担もなく、完璧にフィットし患者の生活を向上させるシリコン・インプラントを設計します。

利用ツール: Artec Eva、Artec Spider、Artec Studio、Geomagic Freeform

開発するAnatomik Modeling社は、患者さん一人ひとりの体格に合わせて完璧にフィットし、胸壁の成長時の異常である先天性胸部奇形など、病理の低侵襲治療に適したカスタムメイドの3D医療ソリューションを提供することを使命としています。

医療分野での技術の進歩が重要な、カスタムメイドの医療ソリューションの需要が高まっています。わずか数年前には不可能と思えたことが、現在、実現可能となっています。公立医療機関も民間医療機関も、3Dスキャンなどの最先端技術を用いて患者さんを診断・治療し、患者さんのクオリティ・オブ・ライフを大幅に改善するカスタムメイドの医療器具を手がけています。

3D技術を使いカスタムメイドのインプラントを設計・開発するAnatomik Modeling社は、患者さん一人ひとりの体格に合わせて完璧にフィットし、胸壁の成長時の異常である先天性胸部奇形など、病理の低侵襲治療に適したカスタムメイドの3D医療ソリューションを提供することを使命としています。これらの奇形には、肋骨と胸骨を結合し、胸骨の陥没を引き起こす軟骨の過剰成長や、体の片側の胸部筋肉を未発達にするポーランド症候群などがあります。

Anatomik Modeling社のCTO兼共同設立者であるベンジャミン・モレノ氏は、従来の医療器具では十分に対応しきれないケースでは、治療方法や医療器具をパーソナライズすることにより必要な治療やソリューションを提供できると考えています。カスタマイズした医療器具ならば、複雑な症例にも対応でき、より患者さんにとって良い結果を実現し、手術時間や回復時間を大幅に削減することができます。

ベンジャミン氏率いるチームは、Artec 3DスキャニングソリューションとGeomagic Freeformソフトウェアを使い、完璧なカスタムメイドの胸部インプラントを設計し、その結果を監視しています。作業手順は次のとおりです:手術前に患者さんの奇形部分に関する必要なデータをスキャンで収集します。この時、胸部の外側のスキャンにはArtec 3Dスキャナ、内側のスキャンはCTスキャンが使用されます。

先天性奇形である漏斗胸を治療するために、3Dでカスタムメイドするインプラントを設計中

次に、カスタムメイドのインプラントを設計するため、患者さんのCTスキャンデータを、STLやOBJなどの標準ファイル形式で、直接Geomagic Freeformソフトウェアにインポートします。この高性能3Dソフトウェアは、有機的な形状の設計製造に最適です。特に、仮想環境でありながら手で実際に彫刻しているかのような感覚を与える彫刻ツール、触覚デバイスと使用することができるため、使いやすさは軍を抜いています。

「患者さんの体型に完璧にフィットする医療器具を設計する際にFreeformを使用しています。当社が扱う医療器具はすべて有機的な形状をしているため、またとない理想的なソフトウェアと言えます。もちろん、医療器具の設計や彫刻を完全に自由に行えるPhantom触覚デバイスも使用しています。これにより、設計時間を大幅に短縮することが可能になっています」ベンジャミン・モレノ氏。

Geomagic Freeformを使用し、重度の先天性奇形である漏斗胸のCTスキャンのデータセットを3Dレンダリング

Geomagic FreeformソフトウェアとPhantom触覚デバイスでカスタムメイドのインプラントを作成

設計が完成すると、CNC加工機械でプロトタイプを作成します。その後、石膏でプロトタイプの型を取ります。インプラントを作成するため、医療用シリコンを石膏で作った型に流します。この方法をとっているのは、医療現場で使える医療用シリコンエラストマーをプリントできる最新の3Dプリント技術がないためです。

その後、手術で、カスタムメイドした3Dインプラントを胸部の奥深く、肋骨と胸部筋肉の間に設置します。Artec Eva 3Dスキャナは、新しい胸郭の形状をキャプチャするために使用されます。術前と術後の3Dスキャンを比較し、Artec Studioスキャン・後処理用ソフトウェアで直接、ディスタンスマップの比較を行います。これにより、体の組織の構造を明確に知ることができます。つまり、3Dモデルにより、医師はインプラントの上部にある軟組織が、標準的な肋骨構造と比較し、どの程度ずれているかを把握することができます。

Artec Studio 12を使用したディスタンスマップ。術前と術後に撮影した3Dデータを比較することにより、患者さんの胸部の軟組織の場所の移動を把握できる

漏斗胸患者の胸部3Dスキャン。左:手術前。右:3D技術で作成したカスタムメイドインプラントを使用して手術した後。

現在の作業手順は、シンプル、スピーディ、安全、簡単ですが、かつてはこのようにスムーズな作業ではありませんでした。Artec 3Dスキャニングソリューションを導入する前、Anatomik Modeling社は石膏鋳造やCTスキャンなど、より従来的な方法でデータを収集していました。石膏鋳造は非常に時間がかかる方法で、CTスキャンは患者さんが横たわった状態でなければ撮影することができず、軟組織が移動してしまうため、正確なデータを得ることができませんでした。

スピーディかつ安全に正確な3Dデータを得るため、同社はまずArtec MH 3DとArtec Evaを購入しました。MHとEvaは胸郭の奇形を分析するためにデータをキャプチャする理想的なポータブルソリューションでした。その後、同社は、超高解像度で患者さんの顔や頭部をスキャンするため、Artec Spiderも購入しました。現在、術前と術後の患者さんを立位のまま3Dスキャンできるため、正確なデータを得ることが可能になっています。カスタムメイドのインプラントの作成では現在でもCTスキャンがまだ必要ですが、有害なレントゲン撮影が必要な回数が大幅に減りました。

Artec EvaSpiderを使用するようになり、石膏鋳造をしていた頃と比較して作業時間が大幅に短縮され、精度が大幅に改善されました。患者さんにとっても、作業がずっと快適で簡単なものになっています。患者さんの解剖学的構造の3Dモデルにより、石膏鋳造では不可能だった測定が可能になりました」ベンジャミン・モレノ氏、Anatomik Modeling社、CTO兼共同設立者

Anatomik Modeling社が制作した3Dカスタムメイドのインプラントを使用した漏斗胸矯正手術の成果。左:手術前。右:手術後。

プロ仕様の3Dハードウェアとソフトウェアを共に活用することで素晴らしい成果をもたらし、多くの人々の生活を大幅に改善しています。3D技術はますます様々なプロジェクトで採用されるようになり、技術は日夜進歩しています。高度3D技術は、今後もAnatomik Modeling社のプロフェッショナルと世界中の医療従事者に一層活用され、カスタムメイドの医療業界は一層発展していくでしょう。

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