イリノイ図書館にあった19世紀に作られた黄銅製の棚受けブラケットを、Artec Space Spiderを利用して保存と改造を行う

課題:とある新しい図書館で棚を建てる際に、古い図書館にあった1850年代の黄銅製の鋳造品を取り入れることが考案されましたが、その元の部品は1つしか残されていませんでした。

ソリューション:Artec Space Spider, Artec Studio、3D印刷

結果:古い図書館に残された、ラスト1個の黄銅製の棚受けブラケットがスキャンされ、そのデジタル3Dモデルが取得されました。新しい部品は、資金調達のためや新しい図書館での使用のために3D印刷され、販売されました。

米国アイオワ州のダベンポート市にある、イースタン・アイオワ・コミュニティカレッジがアディティブ・マニュファクチャリング(金属3Dプリンティング)をプログラムに追加したことで、この学校の生徒達に新しい扉が開かれ、新しい働き方の可能性も出てきました。

「私が教えるプログラムでは、私達の地元の産業にエントリーレベル以上のモデリング技術者達を提供することに重点を置いています。最近になって、私達のプログラムはアディティブ・マニュファクチャリングを追加するように変更されたんです」と言うのは、ソリッドモデリング及びアディティブ・マニュファクチャリングのインストラクターを務めるブラッド・マコーネル(Brad McConnell)氏です。

現物に忠実に再現された棚の1つ

「実は、私達がアディティブの分野で強調している技術的なスキルの1つに3Dスキャンがあります」 と彼は説明します。「例えば、私達はアーティファクトや部品を手に入れて、それをスキャンします。その後 、そのスキャンから追加部品を作成します」

マコーネル氏は、アディティブ・マニュファクチャリングは通常、プロトタイピングや短期間の生産で知られていると指摘しました。しかし彼はそれだけではなく、アートやパーソナライズされた消費財、そしてあらゆるオブジェクトの保存など、他にも多くの用途があると言います。もう少しで永遠に失われるところだった、古い図書館の貴重な一部を保存するよう彼らのチームに求められたケースは、まさにオブジェクトの保存のため、そしてその複製を作るためでした。

ここで題材となっているのは、19世紀に作成された華やかな黄銅製の鋳造品で、それはカーネギー財団時代の図書館の棚にあったものです。「1850年代にイリノイ州のジェネシオ市では、町の図書館を建設するためにその資金が町に与えられました」と、マコーネル氏はその部品が最初に作成された元の図書館について説明します。「数年前にこの町は新しい図書館を建設しましたが、古い図書館に残された棚の一部を使用して、資金調達のための棚を作りたかったのです」

「元の図書館の棚にあった、華やかな古い黄銅製の鋳造品のうち、残っていたのはたった1つだけでした」

元の部品は1800年代後半にカーネギー・マニュファクチャリングによって製造されました

この大学での新しいアディティブ・マニュファクチャリングのプログラムのおかげで、マコーネル氏と彼の生徒達にはそれに対するソリューションを見つけるための設備は既に整っていました。これらの仕事を適切に行うには、正確さと細部への最大限の注意が非常に重要になりました。そんな中、彼らが選んだスキャナとは一体どれでしょうか?それは、Artec Space Spiderです。

ブルーライト技術が搭載された高解像度3DスキャナであるArtec Space Spiderは、小型オブジェクトや、大型オブジェクトの複雑なディテールのキャプチャに最適です。Space Spiderは、高精度と鮮やかな色を提供し、複雑なジオメトリやシャープなエッジ、またはキャプチャが通常難しい部品を取り扱うことができます。人間の耳から工業用部品まで、Space Spiderは優れたスキャンソリューションを提供することができます。それは単独でも使用されますが、別のArtec3Dスキャナと組み合わせての使用もまた可能です。

「学生達と私は、その黄銅製の棚受けブラケットのデジタルファイルをまず得るために、それをスキャンすることができました」とマコーネル氏は言います。「それと、その棚に使用されていた別のアイテムもスキャンして、いくつか3D印刷しました」

綺麗に調整される準備ができている状態の、新しく3D印刷されたばかりの部品(左)。黄銅製の棚受けブラケットの現物(中央)。SLAプリンターでの3D印刷と処理が終わり、新しく調整された部品(右)。

この仕事の初期段階では、非常に正確で信頼性も高いスキャンデータをキャプチャするために、マコーネル氏のチームは試行錯誤を続ける必要がありました。「そんな中、光の設定と感度を調節すれば、スキャンの質が向上することに気がついたんです」と彼は言います。「感度をかなり低いレベルにして、光のレベルを上げたら、スキャンはより正確になりました。また、大規模で正確なスキャンをたった2回だけ取得する方が、より沢山のスキャンを取得するよりも理にかなっていて、位置合わせも簡単になることがわかりました」「このこと以外はとても簡単ですよ!」と彼は付け加えます。

Artec Studioで位置合わせと処理がされた後 、デジタル保存された部品は、SLAとFFFプリンターで印刷されました。

歴史ある部品の保存と資金調達のため、そして元の図書館の歴史に貢献するためにその部品のスキャンと印刷がされたところで、彼らのチームはその3D印刷されたバージョンの砂型を作って、その貴重な部品をまた蘇らせることを楽しみにしています。砂型に流し込む物質は、黄銅や青銅、もしくは安価な鋼や鉄を使用するつもりです。

「これまでに私はこの図書館のために無料で約200台の棚の改造をしました。これらはすべて、それぞれ40ドルで販売されました」とマコーネル氏は言います。

元の部品の3Dモデルから新しく作られた本棚

このプロジェクトで、マコーネル氏と学生たちは、以前は不可能だったソリューションを見つけることができました。「以前の方法なら、一般的な作業場で使用されるような測定ツールが使用されていたでしょう。測微計やものさし、キャリパーなどのことです」と彼は言います。Space Spiderのおかげで、以前なら困難であった、もしくは完全に不可能だった有機的な形状の部品を測定することができるようになりました」

ここで行われた作業は、ほんの始まりに過ぎません。「実は、私達は地元の図書館で3D印刷とスキャンの実演も行うように依頼されたんです」と、地元の中学・高校でも勤務しているマコーネル氏は言います。「図書館側も、地元企業らもみんなそれに乗り気で、期待しているようです」