Artec Evaで、思考制御の3Dプリント・バイオニックアームを創る

07/08/2019

Paul Teupelは左腕がほとんどない状態で産まれた。彼は3歳から長年にわたり多くの義腕を利用してきた。彼によれば2番目の腕ー彼曰く「ショルダーストラップで所定の位置に固定された、ダブルフックのような恐ろしい作りで、着用するのが面倒な上に見た目も最低」だったのだという。「それで、その後数年間は、義腕を全く着用する気になれなくなってしまったんです。」新しい世紀になろうという時代に生まれ育ちながら、人工装具の外観とデザインは、過去50年以上ほとんど変わっていないという状況でした。義手と手は、少しはリアルに、少しは快適になりましたが、まだ本当に機能的で、本当の暮らしやすさを可能にするほどのものではありませんでした。

20世紀初頭の人工装具 Sanitätshaus Klinzの歴史的コレクション

その後、12歳でポールは最初の筋電装具(Ottobock社の手とともに)を装着しました。左腕で物を握って持つことができたのは初めてだったので、彼にとっては画期的な出来事でした。この日から、彼は毎日装具をつけるようになりました。この新しい腕なら肘を30度だけ曲げることができ、前進したとはいえますが、まだ望むことは多くありました。

Carsten Suhle 整形外科技術者

Paulは、ドイツの再統一後まもなく1990年代初頭からドイツのベルンブルクのSanitätshaus Klinz の患者となり、1997年から同社の整形外科技術者 Carsten Suhleと一緒に働いています。 Carstenはpaulにつねに補綴の最新技術を用いて最善を尽くしています。Paulと初めて会い、その腕を見た瞬間から、 Carstenのやる気がみなぎったのです。そして、2017年の春のある日、修士課程の一部として革新的な新しい腕を作る計画を立てると、ポールに彼がこれまで使っていたような義手に慣れきってしまわないように伝えました。「さあ、君が今まで試したことも見たこともなかった最高の義手を作ろう。どう思う?」心から同意したPaulはその後5ヶ月カーステンと密接に協力しながら、ポールのバイオニックアームに命が吹き込まれたのです。

Gerd Klinz オーナー兼創設者

Sanitätshaus Klinzが1990年に開業して以来、オーナー兼創業者のGerd Klinzは、イノベーションと患者の快適さをモットーに掲げ、患者に最大限の機動性と自立性を提供してきました。同社の日常業務では、3Dスキャンや3Dプリンティング、ケブラー、各種プラスチックなどの最新の材料やツール、技術に加え、旋盤ち、接着剤、石膏金型、ガラス繊維、CNCフライス加工を行ってきました。彼らはザクセン・アンハルト(ドイツ)の周りに複数の支店を持ち、患者は国の他の地域から、そして海外からも訪れます。

スキャン前に石膏キャストを検査

Paulの新しい腕に関するCarsten’の初期の仕事についてお話しましょう。整形外科における長年の専門知識、独自のデザイン思考、最新の3Dスキャンとプリントの相乗効果を結集し、ほんの少しの時間でPaulの最初のプロトタイプを製作しました。繰り返しフィッティングに訪れたPaulでしたが、驚くべき想像力で成功への道のりを信じ一度も彼の専門知識と成功に近づいていた驚くべき想像力に希望を失うことはありませんでした。数週間が経ち、プロトタイプは、腕が最終的にどのようなものになるかというビジョンとより一致するようになりました。

しかし、製作途中に、Carstenは最良の結果を達成するのを妨げているのは彼のビジョンではなく、彼らが使用していたツールの一部であることに気づきました。具体的には、ポールの体と完全に一致する正確な新しい腕を設計するために使用していた、左上腕(残った四肢)の3Dモデル作成用の3Dスキャナでした。補綴とポールの体の間が十分に動くことができるのを可能にする接点と隙間が正確でない限り、新しい腕は不快であるだけでなく、機能が不完全になってしまうのです。

 

 「日々行われる、何千とはいわなくても何百もの動きにおいて、Paulの身体の延長であるように自然と連動するような装具が必要です。そうすれば短時間でも、彼は自分の腕について気にすること無く、日々を暮らすことができるようになります。それが私の目標ですし、私のすべての患者に対しての目標です。Paulと一緒にその目標を達成したと思っていますが、それは我々がそこで立ち止まったままという意味ではありません」と、Carstenは語ります。「これからも最新のテクノロジーを利用して最高の装具を彼に提供することができるなら、努力を惜しみません。たとえ乗り越えなくてはいけないものがあっても!」

「3Dスキャンを始める前は、3Dスキャナにこんなに大きな違いがあるとは思っていませんでした。スキャナはスキャナだと思っていましたが、スキャナを比較してみると、ランボルギーニと安価なセダンを対比するように、ランクの高いものから低いものまであるのです。まず、自分にとって最も重要なものを決定する必要があり、私たちの場合は、最高レベルの精度、わかりやすいデータ、キャプチャの速度、そしてもちろん、スキャンが迅速に3Dモデルにマージされるように簡単な後処理ができれば、次のステップにスムーズにすすむことができます。」

Sanitätshaus Klinz'の整形外科デザイナー、Maria Köhlitzはこう説明する。「 Creaform 社のGO!ScanやKinect 3Dスキャナなど過去に複数の3Dスキャナを使用し、テストしました。しかし私たちが試したどのスキャナも、必要な精度を提供できなかったり、キャプチャのフレームレートが十分に高くなかったりしたのです。そのため、患者がスキャン中に動いてしまうとこれらのスキャナは追跡を失い、もう一度領域をスキャンする必要が生じたり、結果がうまくいかず編集や調整がひどく難しいものになってしまっていました。」

「最初に3Dスキャナを見始めたとき、スキャン処理のスキルを高めれば、スキャナの欠点を補うことができると思っていました。しかし、そうはいきませんでした。欠陥のあるデータから始めると、何時間も時間がかかり、完璧には決してならないのです」ととCarstenは語ります。「花瓶を落っことして、それを時間をかけて元に戻すのを想像してみて下さい。最終的にはまた新しく見えるかもしれませんが、細かく見ればひびだらけです。それならそもそも花瓶を落とさない方がずっといい。」

「完全に鮮明なデータとリアルなスキャンから始めます。Artec Evaならそれができます。」
–Carsten Suhle、整形外科技術者

Carstenは、分野の信頼できる専門家の指導を必要としていることを理解し、経験豊富な技術者やコンサルタントがArtecのプロフェッショナル・ハンディ型3DスキャナEvaやSpace Spiderの販売と使い方の指導を行ってくれるArtecゴールド認定リセラーKLIB社に目を向けることにしました。

Artec Eva は安全なストラクチャー白色光を利用した、プロフェッショナル・カラー3Dスキャナです。軽量で使い心地の良いEvaは、腕、脚、人体などの中型の物体をデジタルでキャプチャするのに最適です。 最大1mmのポイント精度を誇るEvaは、 ヘルスケアから工業デザイン、 科学まで、さまざまな業界で最も人気のある3Dスキャナの1つです。

Paul Teupel と整形外科デザイナー Maria Köhlitz Artec Eva

0.05mmまでの目をみはるポイント精度を持つハンディ型カラー3D構造化ライトスキャナ、Artec Space Spiderは、覚えやすい操作で使いやすく、小さなオブジェクトを迅速にスキャンするのに優れており、指、手、耳、顔などを完全にスキャンしてきた長年の実績があります。デジタルキャプチャのプロセス中に、業界で絶賛されているソフトウェアArtec Studio 内でスキャンがリアルタイムで行われます。EvaとSpace Spiderの両方が  Geomagic Freeform モデリングソフトウェアと流動的に統合されています。

ビデオで示されているように、石膏鋳造の伝統的な方法と比較すれば、Artec Evaは膨大な時間を節約することができます。示されている例では、スタートからできあがりまでキャストで必要となる2.5 時間は、Evaではわずか12分でした。Artecのプロフェッショナルハンディ型3Dスキャナの精度と正確性の両方が保証されていることに加えて、先々また利用するために手元に完璧なデジタルアーカイブを持っておくことができるという利便性については言うまでもありません。このような技術的な利点を無視することは不可能でしょう。

Paulの新しい腕の肘接合部分

最初のプロトタイプから最終型のアームがフィッティングの準備ができるまでに約10ヶ月かかりました。手(ベビオニック)はOttobock社から購入し、義手自体は完全にCarstenによって作成さ。 Geomagic Freeformで設計しPA2200プラスチックから3Dプリントされました。また、人工装具とPaulの残留肢の間のインターフェイスとして使用される青いシリコーンパディングもあります。人工装具の内側には、新しい腕と手を動かすために筋肉電気(筋電)を使用するポールの皮膚からのセンサーにつながるケーブルとワイヤがあります。特定の動きを考えるだけで、通常腕を動かす筋肉が活性化され、センサーは皮膚センサーを介して電気を拾い、補綴物はポールが意図したように動き、機能します。

Paulが結果に満足していると言う表現では、言い足りないでしょう。「Carstenは私の新しい腕を開発し、エンジニアリングするという途方もない仕事をしてくれたんです。彼は2つのピボット軸を持つ二重関節システムを再発明し、90度以上の可動域を可能にしました。生まれて初めて、左手で唇にコップ一杯の水を持ち上げて一口飲んだ瞬間を、私は決して忘れません!」

新しい腕をつけたPaul Teupel

Paulは、彼らがスキャンを行って最先端の整形外科および人工ソリューションを作成した100人以上の患者の一人です。 Maria Köhlitzが言うように、「最初は、患者の腕と脚をスキャンしたかったので、Artec Evaを購入しました。エヴァはこの目的に完璧な選択です。しかし、その後、デザインと創造の範囲を指や小さな関節にまで広げたいと思い、Space Spiderを購入しました。スキャンと詳細部のレベルは驚くばかりで、作成しているスキャンの中で指紋を見ることができるほどです。

新しいバイオニックアームを自由に動かすPaul

以前のように制限や障害を感じることなく、今ではPaulは乗馬に原付きにオートバイと、自由にお気に入りの趣味を楽しんでいます。彼の新しいバイオニックアームと手は、彼がレンチやドライバー、大小の部品、洗濯機やスパークプラグを扱うのに十分に器用な10本の指があり、彼が少年の頃から夢見ていたすべてを握ったりと様々なことを可能にしました。

ドイツ政府の健康保険制度は、3Dスキャンと人工装具のプリントを従来の設計方法や作成方法よりも優れたものとして、国全体で承認することを決定しました。3Dスキャンが短期的により費用対効果が高いだけでなく、長期的な耐久性があり、長期の患者も含め検査中とフィッティングの両方で患者の快適さ可動性が高く、より通院の回数を減らすことが認められたのです。ドイツの健康保険は、3Dスキャンが人工装具と矯正学の未来であることを承認したのです。

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