3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

暗闇の地下洞窟でArtec Evaが25万年前の人間の骨 (ホモ・ナレディ) をスキャン

概要: 考古学者は、骨やその環境に影響を与えること無くデジタルでキャプチャをする方法を探していました。

目的: アフリカの人が入るのも難しい洞窟で、人類の先祖である絶命種ホムニンの化石化した骨を正確かつデジタルに3Dキャプチャします。

利用ツール:Artec Eva

新たに発掘された人類の祖先であるホモ・ナレディの大量の化石が発見され、ARTEC Evaを用いてスキャンされました。

発端は、2013年10月にヨハネスブルクの北西にあるライジングスター洞窟へのアマチュア洞窟探検家2名による探検旅行でした。 この探検家リック・ハンターとスティーブン・タッカーは、これまで探検されることのなかった洞窟のある空間に入ってみることにしました。現在、「ザ・シュート」と呼ばれる空間に入り、その奥の隙間の垂直に近い狭い縦穴を12m下りて、洞窟でこれまで探検されたことのなかった空間を発見しました。この空間は、現在、ディナレディ空洞と呼ばれます。ディナレディとは、北ソト語で「星」を意味するため、星の空洞という意味になります。 この空洞で、2人は化石骨を発見し、早速写真を撮り、それを ウィットウォーターズランド大学(以下、ウィッツ大学)の古人類学者リー・バーガー教授に見せました。

ディナレディ空洞からは絶滅したヒト属(人類の祖先)の種族の化石が15体も発掘されました。

バーガー教授は2人が発見した化石はこれまでの人類の祖先として信じられてきたものを覆すことになるだろうと直感し、その直感は的中しました。ディナレディ空洞からは絶滅したヒト属(人類の祖先)の種族の化石が15体も発掘されました。このヒト属は暫定的に、ホモ・ナレディと名づけられました。この発見により、死者を生きているものから離れた場所に埋めるなど、人間だけの行為と長く信じられてきた複雑な儀式を、このヒト属が営んでいたことが明らかになりました。

バーガー教授は、この空洞の写真を初めて見た瞬間に、この空洞への発掘調査団を派遣することを決め、その調査団員となる人をソーシャルメディアで募集しました:

バーガー教授はこの空洞への発掘調査団を派遣することを決め、その調査団員となる人をソーシャルメディアで募集しました。

「親愛なる同僚の皆様。古人類学者である皆様のお力添えが必要です。この通知を出来るだけ多くの古人類と関連する分野を研究されている人々に伝えていただきたいのです。私どもは、現在、考古学または古生物学と関連して優れた発掘能力があり、2013年11月1日には出発する可能性があり、予定通り物事が進めば、1か月で完了する短期プロジェクトに参加可能な人材を3~4名探しております。また、この調査団員となる人物は、細身で、できれば小柄であることが重要です。さらに、閉所恐怖症ではなく、フィットで、洞窟探検経験があり、また、ロッククライミング経験があればさらに望ましく、狭い場所での作業を厭わず、常に前向きな姿勢で、団体行動が出来ることが求められます。 要件が極めて特異で厳しいため、経験豊かな博士課程の学生、または充分に訓練を積んだ修士課程の学生からの応募も受け付けますが、より経験が豊かな応募者を求めています(博士や上級研究員であれば完璧です)。年齢制限はありません。 多額の報酬は支払えませんが、渡航費および宿泊滞在費(その多くはキャンプとなり、道中で柔軟に対応することになります)は当方でお支払いします。興味のある方は、当方まで直接ご連絡ください。 本件は極めて急を要しています。出来るだけ多くの古人類と関連する分野を研究されている人々に伝えてください。最後までお読みいただきありがとうございました。リー。」

洞窟探検家や科学者が18㎝の隙間に到達するには、狭い穴を通り抜け、ドラゴンズ バックと呼ばれる洞窟内の高さ15mの岩場を登り、12mの狭い縦穴シュートを下らなければならず。

調査隊はまず、2013年11月に3週間の予定で出発し、ライジングスター洞窟の奥からヒト化の化石を採掘します。洞窟探検家や科学者が18㎝の隙間に到達するには、狭い穴を通り抜け、ドラゴンズ バックと呼ばれる洞窟内の高さ15mの岩場を登り、12mの狭い縦穴シュートを下らなければならず、化石に近づくのは簡単なことではありません。

ディナレディ空洞は極めて狭い空間を抜けて行かなければ到達できないため、比較的スマートな人しかアクセスできません。合計6名の古人類学者、考古学者、人類学者がこの任務のために選ばれました。最初の探検調査により、ヒト化の化石が15体以上発掘されました。2014年3月には2週間に及ぶ2回目の探検調査が行われ、その他の遺物を掘り出しました。

ライジングスター洞窟とディナレディ空洞は狭いため

ライジングスター洞窟とディナレディ空洞は狭いため、従来使用している探検録画器では役に立たず、高解像度の空間データを収集するための新しいアプローチが必要でした。バーガー教授の募集に応募した中にアシュリー・クルーガーさんがいました。彼はウィッツ大学の進化研究所で修士課程を修了し、古人類学で博士課程のプロジェクトを探していました。 クルーガーさんは、ライジングスター洞窟への最初の調査団が出発する直前、2013年10月にプロジェクトに参加しました。

化石の位置を記録するには、ARTEC Evaが使用されました。

「バーガー教授と話し合い、今回の探検には現場の記録に3Dスキャンを使用することと、これを私の博士課程での研究課題の一部とすることを決めました。」とクルーガーさん。「古人類の化石が発掘される場所で調査を行うときは、遺跡地から発掘した骨の破片の配置を記録しておくことが極めて重要で、これは、得られたすべての情報を基に、どのような状況で遺物がそこに埋められていたかを研究者が理解するのに役立ちます。」

化石の位置を記録するには、通常、グリッド・システムか、トータル・ステーションが使用されますが、このプロジェクトでは、ARTEC Evaが使用されました。 クルーガーさんは洞窟に入った調査隊からスキャンデータを回収し、レンダリングを行った後、データをメッシュ化し、調査データをいくつかのレイヤーに3Dでコンパイルし、発掘した骨の破片を繋ぎ合わせ、より大きな空間的文脈の中でそれらを配置しました。

この写真は、探検調査中の4つの異なる段階で撮影したスキャンで構成されています。茶色いベース・レイヤーは掘削ピットを、青いレイヤーとオレンジ色のレイヤーは2014年3月の異なる2日間で発掘された化石を、それぞれ示しています。白骨化した手と下肢の一部をはっきりと確認することができます。「A new star rising:Biology and mortuary behavior of Homo naledi」:ランドルフ=キニー、パトリック S.A new star rising:Biology and mortuary behavior of Homo nalediS. Afr. j. sci.[online].2015, vol.111, n.9-10, pp. 01-04.ISSN 1996-7489。

ARTEC Evaを使って、まだ埋もれた状態の化石も含めた発掘現場をスキャンしました。スキャナを使って発掘現場をくまなくスキャンすることにより、現場をリアルタイムで携帯したノートパソコン上にビジュアル化できました。その後、化石(最大でも厚さ5㎝)のある層を移動し、露出された表面をEvaでスキャンしました。

ライジングスター洞窟のディナレディ空洞内にある探検エリア(2014年3月)。この画像は、関節でつながっている骨と、このスキャンが完了した後に発掘されたつながっていない骨です。

ディナレディ空洞での探検調査を記録するためにEvaを使用したのには、2つの理由がありました。まず、空間データは採掘した化石の場所や向き(軸と面)に関するものであったこと。そして、発掘調査中に収集したデータをスキャンを撮るごとに地上スタッフに送ることで、地上スタッフが発掘や探検に関して、洞窟内部にいる調査隊に指示を与えることができること。

ディナレディ空洞内にある探検エリアのクローズアップ。探検エリアでも特に多くの化石を発掘した層に多くの化石があるのが見えます。上顎骨(中央)がはっきりと確認できます。

「このような高水準にある技術がいとも簡単に操作でき、しかも理想的とは言いがたいスキャン環境においても卓越した精度でキャプチャできることにただただ感動しました。チームは、スキャナの使い方を1時間弱でマスターしてしまいました。ARTECの技術を使用することにより、発掘プロセスにかかる時間が大幅に短縮され、そうでなければ数時間かかっていただろう作業も数分で終わらせることができました。このようなプロジェクトでは、骨だけを撮影するのではなく、他の骨との位置関係を記録することも重要です。通常、この作業では、化石の位置を手動で測定し、作成したグリッドで相互参照する必要があります。ARTECの技術を使うことで、困難を極める状況であったにも関わらず、このプロセスは大幅に合理化されました。」と、ウィットウォーターズランド大学の古生物学者アシュリー・クルーガー博士。

探検期間中にレンダリングされる3Dスキャン画像を見る地上チーム。3Dスキャン画像を使って、科学者が進める探検を文書化していきます。

データの後処理はARTEC Studio 9(と、最近では、ARTEC Studio 10 Professional)を使って行われました。 各スキャンは、単一のレイヤーにコンパイルされたいくつもの異なる画像で構成されました。各スキャンを登録し、3D三角ポイントを確定しました。登録完了後に、3つ以上の参照ポイントを使い、それぞれのレイヤーの位置合わせを手動で行いました。このような参照ポイントには、ディナレディ空洞内の所定の調査用ポイントと発掘地の目印となる場所がありました。これらを意図的にスキャンに入れ込むことで最適な登録を実現することができます。

洞窟探検家の1人、リンゼイ・ハンターは、別の洞窟探検家が探検エリアをスキャン中に地上に送られる3Dスキャン画像を監視します。(写真:エレン・フェウエリエゲル氏)

位置合わせが完了したら、グローバルな登録を行い、スキャンデータを正確に統合します。これにより、スキャンした領域を3Dメッシュ化します。3Dメッシュに、ARTEC Evaがスキャン時に同時にキャプチャしたフォト・テクスチャ・マップ情報を重ねます。各3Dスキャンデータをコンパイル後、表面データをエクスポートし、他のスキャンデータと合わせて、表面スキャンを完成させます。これにより、探検しながら、調査エリアや空洞を3D環境として仮想化することができます。

2人の洞窟探検家がARTEC Evaを使って、化石を発掘する前に、ディナレディ空洞の探検エリアをスキャンしているところ。

Evaを使ってスキャンした化石を現場から掘り出し、詳細に研究するウィッツ大学に送りました。この発掘プロジェクトは、最終的に、1,550以上の骨の断片が発掘され、アフリカ大陸で発見されたヒト族の化石セットとしては最大規模のものとなりました。40名を超える科学者が参加したこのプロジェクトから、2つの科学論文が発表され、PBS NOVA(英語版) ナショナルジオグラフィックのドキュメンタリー『人類の夜明け』が作成されました。

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