Artec 3Dスキャナ、古代ペルーの歴史に新たな光を当てるためにアンデス山脈を越える

08/04/2021

著:Matthew McMillion

ペルーの雲霧林での激しい豪雨の最中に、考古学者であり、またマサチューセッツ州の教師でもあるダニエル・フェルナンデス・ダビラ(Daniel Fernandez-Davila)氏はそこで自分は完全に生きていることを深く実感していました。彼は他の12人と共に、50ポンドの道具や、機材と備品のカバンを背負い、馬に乗って1日20マイル以上も旅していました。彼らが運んでいた荷物には、遠くの山の村まで届ける本と教材もありました。

6人のアンデス出身の現地ガイド達が海抜6,000〜13,000フィートの高さから道を案内してくれていました。そこは、常に90分ごとにコロコロ天候が変わるようなところでした。涼しくてさわやかな35°F だと思ったら、その1時間後に急に90°F の蒸し暑さになったりしていました。

ラモラダに向かう途中の考古学者、ダニエル・フェルナンデス・ダビラ氏

彼らの23頭の馬と騾馬(ラバ)の行列は日当たりの良い高原に到達し、それからしばらくすると大雨に濡れ、馬の足は泥に引っかかり、彼らの前方にあった小道や道は流されてしまう状況に陥ってしまいました。チャチャポヤのこの土地では、変化に適応する能力が必要です。

チャチャポヤは、現在のペルー北部にあるアマゾナス地方の最初の住民でした。アンデスの雲霧林の中に住んでいることから「雲の人々」としても知られるチャチャポヤは、彼らの不思議な文化の遺物をほとんど残しませんでした。

雲霧林の丘の中腹を蛇行する、草木が生え放題で岩だらけの小道は、旅を長く危険なものにします。

現在まで残った遺物のひとつに、カラヒヤの石棺があります。危険な崖の岩棚の上に背の高い陶磁の像がいくらかあり、そのそれぞれの中には胎児のような格好で丸まった、古代ミイラがあります。なんと衝撃的なコンドル湖の墓のミイラコレクションでしょうか。

しかし、フェルナンデス・ダビラ氏の経験によると、多くの種類のチャチャポヤの宝物は実は存在するらしいのです。彼は噂話は聞いても実際には見たことがない遺物をいくらか知っていますが、この件に関しては彼は実物を目の前にしたことがあります。フェルナンデス・ダビラ氏は、1998年以来ほぼ毎年ペルー北部の雲霧林に戻ってきています。

目的地:ラモラダの村、それは幹線道路から2日間ハイキングしてやっと到達ができる場所です。

彼は多くて12人までの学生達と一緒にそこへ旅をし、一生に一度の体験を学生達に提供します。その学生達が言うには、この体験は彼らの人生観を変え、大きな影響を与えてくれたそうです。彼らはそこにいる間、物資がかなり不足している遠方の山の村にある学校に、何百冊もの本や物資を持って行ったりする慈善活動を行います。

アトゥエン村のチャチャポヤスの子供たちにフェルナンデス・ダビラ氏が彼らの土地と人々の古代史についての本を読み聞かせている様子

フェルナンデス・ダビラ氏はこれらの旅の間にも重要な考古学の仕事を行い、これらの消えていく宝や古代チャチャポヤの最後の痕跡を記録して保存する手助けをしています。それはまさに時間との戦いであり、雨水の浸食や落書き、破壊行為そして略奪の被害によって難航してしまうことが多々あります。

このように山腹や山頂に点在する孤立した村では、神聖な物をもし見つけたら、その一部や破片を取って持ち帰ることで、神の祝福と保護を受けることができると地元の人々は信じてきました。

しかし、時が経つにつれて、フェルナンデス・ダビラ氏はこのような地元の人々の信頼を得るようになりました。彼らはジャングルで見つけた遺物や、見つけて持ち帰った物について彼に頻繁に報告してくるのです。このように親切な人々が増えてきたのは、彼らの祖先のこういった目印は一度なくなったら、もう戻ってくることはないことを理解しているからです。

グループメンバーのひとりで、元学生のレイチェル・ロレンツ(Rachel Lorenc)さんと村のチャチャポヤの女の子

彼が毎年そこで過ごす数週間で、そのすべての遺物を把握するのは到底無理です。フェルナンデス・ダビラ氏が言うには、「地元の人々が、あの場所にまた新しい巨大な塔があったよ、お墓があったよ、あとその洞窟の向こうにも絵があったよ、などと教えてくれる度に、私は考古学者として本当にもどかしい思いをします。そして彼らは私に「また戻ってきてくれるの?」と尋ねるのです。私は親切にこう返事をするようにしています。「ええ、必ず戻ります。それは来年やる予定ですから」と。私はもうすでに21年間そこに行き続けていますからね」

そんな旅行をしていた2008年に、フェルナンデス・ダビラ氏がラモラダに向かう途中で、彼は自分がその数年前に書籍で読んだことのあった古代のモノリスの実物に直面することとなりました。それは、ペルー及びデンマークの考古学の研究の一環として、その場所で研究を行ったことのあるインゲ・シュジェラップ氏の書籍に登場していたモノリスでした。シュジェラップ氏は、1980年代から1990年代初頭にかけて壮大な石が佇むプカルミの現場に一番初めに調査と記録、写真撮影をした考古学者でした。

そのモノリスはキース・マスカット(Keith Muscutt)氏によっても撮影され、絶賛された彼の書籍「雲の勇士たち(Warriors of the Clouds)」にも含まれていました。その数年後の2005年に、この石はペニー・ベルリーナー(Penny Berliner)氏によって図面に描かれました。

フェルナンデス・ダビラ氏がそのモノリスの前に立っていた数分間、彼はそこから立ち去ることなんてできないと強く感じました。彼が指でその石の彫刻をなぞり、らせんや四角形、そして放射状の線で囲まれた球体を真近で観察していたら、これはただの珍しい考古学的発見などではないと気がついたのです。彼が見ていたものは、ペルーの形成史に新しい光を当てる可能性が高いものでした。

そのペトログリフを適切に分析して、それらが一体何を意味するのかを理解するには、図像学的な分析を行う必要がありました。その時、最悪な考えと固い決意が彼の頭をよぎりました。「この美しい石がこの状態でこの先残ることはないだろう。毎年、酸性雨はますます強くなっていて、ペトログリフを侵食している。近いうちすぐに、これらは解読できなくなるだろう。その前に、これを完全に保存する方法を見つけなくては!」

その当時、彼が最善を尽くしてできることはそのモノリスの写真を撮ることだけでしたが、それでも計り知れない歴史的価値のあるこのユニークな記念碑を保存するために、彼はもっとベストな方法を見つけるまで検索を続けようと心に誓ったのです。この研究は、ただ単に科学的な証明のためではないんだ、これはチャチャポヤの現在と未来の世代のために、そして全世界のために必要なんだと。

しかし、その後数か月でその地域にあるジャングルが2.5 x 10フィートの一枚岩を取り囲んでしまい、彼が翌年に戻ったときにはそれを再び見つけることはできませんでした。フェルナンデス・ダビラ氏はそれがどこにあるかは大体見当はつきましたが、天候によって変化が絶え間なく起こり、それがそこの風景を変えたり川を形成していたりしたので、近くの町への道は新しい季節が来るたびに代わっていました。

2人のアンデス出身の現地ガイド達とフェルナンデス・ダビラ氏が今後の最善の道を決定している様子

フェルナンデス・ダビラ氏は、その巨大な一枚岩は盗むには重過ぎるので、それを略奪しようとする者達がそれを運び去ることができなかったとしても、それを破壊しようとする者や、雨による浸食、またはその両方が永遠にそれをいつか台無しにしてしまうのではないだろうかと恐れ、その考えに毎年苦しめられました。

フェルナンデス・ダビラ氏は、これに対する解決策を模索していた初期の段階を振り返り、次のように述べています。「私がこのプロジェクトのプランについて自分の同僚に話した際に、同僚の何人かはなぜ写真測量法をやらないんだ、そっちのほうが簡単で安価だよ、どのスキャナを買おうか何日も調べてから買ってきたりするより良いはずだと言ったんです」

彼は続けました。「しかし、写真測量法には大きな問題が1つあります。このプロジェクトではオブジェクトの写真をたくさん撮る必要がありますが、ラボのPCに戻って写真を確認するまで、それらひとつひとつがどのように組み合わされるかはわからないという点です。つまり、その過程から得た3Dモデルが完全であるかどうかを確認するには、まず自分ですべてをまとめてチェックする必要があるということです」

「それでも、ペトログリフ1つや、重要な表面たった1つでも見逃した場合はどうなりますか?そんな場合、一体私達に何ができるでしょうか。ガイドをまた呼び出して、馬と装備すべてを持ってジャングルにまた戻らなければならないんだなんて言うんですか?そんなたった1つの撮り損ねたショットを得るためだけに、さらに10,000ドルを費やしますか?もし私がそうしたとしても、そこへ再び戻る間にそれを破壊したり略奪したりしようとする者なんかいないと言い切れますか?しかも、そこへ戻ればそのショットが必ず得られるという保証だってないですよね」

最終的に、彼が研究と他の考古学者への問い合わせを続けた後、この問題への解決策として彼が3Dスキャンの選択肢を選ぶことになりました。しかし、非常に多くの種類のスキャナが市場に溢れかえっているため、彼はどのスキャナがこれから先の厳しい難題をクリアできるかよく分かりませんでした。また、スキャナを手にしても、高解像度のカラー3Dでモノリスをうまくキャプチャできるか、その確信もその当時はありませんでした。

そんな中、ある人からの強い推奨を得て、彼はArtecからのゴールド認定を持つ販売代理店の Exact Metrologyと連絡をとることにしました。Exact Metrologyには、3Dスキャンの業界で長年の経験を持つ専門家たちがいます。フェルナンデス・ダビラ氏が彼らに今後の旅の困難な状況についてと、彼がスキャンしようとしているモノリスなどのオブジェクトの詳細を伝えると、彼らは彼に ハンドヘルド3DスキャナであるArtec EvaとSpace Spiderを紹介しました。

Artec Space SpiderとEva

彼らはそのモノリスを鮮やかな高解像度の3DでキャプチャするにはEvaが理想的で、大型オブジェクトの複雑な断面や、複雑なジオメトリを持つ小型オブジェクトの超高解像度スキャンにはSpace Spiderが最適であると説明しました。

そのどちらのスキャナも、長年にわたって考古学と古生物学の分野で実証されてきました。それらのおかげで、その道の研究者達は貴重な遺物や標本をわずか数分でキャプチャをすることができ、デジタル保存やVRなどにも対応できるほどの、非常に正確な3Dモデルに変換することが可能となっています。

フェルナンデス・ダビラ氏は、それら2つのスキャナを是非彼のプロジェクトに使用したいということを確信し、その使いやすさも理解しましたが、やはりスキャンをする過程は専門家に任せたいと考えました。そこで、彼はExact Metrologyでスキャンのボランティアをしてくれる人を探しました。

彼はExact Metrologyのエンジニア達に、「山を越えてその一枚岩にたどり着くためには、困難な旅は避けられないんですが・・」と話を始めたところ、トレーニング兼マーケティングマネージャーのJason Kleinhenz(ジェイソン・クラインヘンツ)氏は、その話を全て聞く前に、是非一緒にそこまで行ってすべてのスキャンの作業をしたいと名乗り出ました。

というわけで、ある8月の暖かい日にフェルナンデス・ダビラ氏は、クラインヘンツ氏と他の11人のグループと一緒にペルーへ飛び、モノリスとラモラダへの旅に出発しました。クラインヘンツ氏はアンデス山脈の雨の丘陵地帯に向かう際に、ノートパソコン2台と3Dスキャナ2種類を詰めたリュックサックを持って行きました。モノリスがある大体の場所を簡単に見つけられるよう、フェルナンデス・ダビラ氏は彼らにに道を案内してくれる現地ガイドを雇いました。

村人とその子供たちにモダン・フォトグラフィーの魔法を見せているニック・チョロガン氏

そのグループの1人であった、国際的な映画製作者のニック・チョロガン(Nick Ciorogan)氏は、モノリスだけでなく、旅の詳しい写真記録を作成するために旅に参加していました。チョロガン氏は、ダニエル氏の仕事を10年以上にわたって綿密に追跡してきました。彼はまた、「My teacher 」というタイトルの長編ドキュメンタリー映画を制作しています。 これは、教師であるフェルナンデス・ダビラ氏とその生徒のグループの生活を追い、彼らが共ににペルー北部の遠く離れたジャングルを旅することで、彼らの人生と彼らに出会う多くの人々の人生がどのように変わっていくかを探る作品です。

ラモラダの未来:地元の子供たちが訪問者を歓迎し、寄付される本を見て大興奮している様子

岩があちこち散乱している山道を横断し、密集した植物地帯を移動し、マチェーテ(中南米でサトウキビの伐採などに用いられる山刀)で彼らのグループとその馬の道を切り開いた後、彼らはついに一枚岩があると推測されるジャングルに到着しました。しかし、現地ガイドでさえそれを見つけることができませんでした。

ラモラダからモノリスに向かう途中のフアバヤク川を囲む小道

ジャングルの上部にドローンを送り、考古学研究者のインゲ・シュジェラップ氏が数年前に図解したものと、ビデオフィードにスキャンをした図面の地図を重ね合わせて初めて、あの巨大な岩を特定することができましたが、その頃にはすでにブドウの木や他の植物にそれは完全に覆われてしまっていました。ガイドがその岩の前にあった草を丁寧にどかした後、フェルナンデス・ダビラ氏はクラインヘンツ氏に「今ならモノリスのスキャンを開始できますよ」と声をかけました。

モノリスの正確な位置(オレンジ色)を示すインゲ・シュジェラップ氏のプカルミの地図)を重ねたドローンの写真:考古学地図の参照:Schjellerup, I. 2005 Incas y Espanoles a la Conquista de los Espanoles.Pg. 288.IFEA.Lima

フェルナンデス・ダビラ氏は、3Dスキャンのテクノロジーとクラインヘンツ氏のスキャン能力の両方に自信を持っていましたが、このモノリスをキャプチャすることは、 Artec Evaにとって重要なテストでした。ジャングルの湿気と霧の状態にも負けず、湿った有機的な表面と手の込んでいるペトログリフを正確にスキャンができるかどうかのテストです。それに加え、フェルナンデス・ダビラ氏はこんな条件も挙げました。「どんな形であれ侵入することは禁止で、岩に損傷を与えてはいけません。それからこの現場から何かを取り外したり、持ち帰ることも禁止です」。

彼は続けました。「それが証明できれば・・もしEvaが今ここで私達が必要としている結果を提供できれば、今回のような雲霧林や、他の遠隔地で石を傷つけることなく石の彫刻をキャプチャする必要がある場合には、いつでもこれを持って行ってその作業ができるってことですよね」

地元のガイドの一人が初めてそのモノリスに遭遇し、その素晴らしさに圧倒されている様子

クラインヘンツ氏はノートパソコンを静かに設置して、Artec Evaを接続し、暗く、長い年月を感じさせるその石の表面をスキャンし始めました。モノリスの両側は高解像度のカラー3Dで確かにキャプチャされていましたが、 Artec Studio ソフトウェアはすべてのペトログリフを含む石の表面にあるあらゆる模様が、200万ポイント/秒の速度でデジタルの世界にどんどん入りこんできていく様子をクラインヘンツ氏とフェルナンデス・ダビラ氏らに視覚的に確認させてくれました。

触る必要はありません:Artec Evaでモノリスの左側をスキャンするジェイソン・クラインヘンツ氏

しかし、それから空の様子が変わりました。一滴の雨に始まり、それが激しい雨になってしまいました。クラインヘンツ氏が助けを求めようとする前に、チームのメンバーが気をきかせて、クラインヘンツ氏とスキャナを雨から守るために防水シートを持ち上げました。他のグループメンバーも、雨がモノリスに降りかかるのを防ぐために、モノリスの上まで防水シートを引っ張りあげました。

その後豪雨が少し続くと、クラインヘンツ氏のモバイルバッテリーが故障し、ソーラーパネルが役に立たなくなってしまいました。おまけに、ノートパソコンのバッテリーまでも低電力の警告を点滅で知らせてきました。バッテリーの残量はわずか数分でした。

幸いなことに、この他には何も問題は発生しませんでした。そして、開始から終了までの約1時間で、モノリス全体のすべてがスキャンされ、念のためにいくつかの追加スキャンもしておきました。

3Dで生まれ変わったプカルミのモノリス:ペトログリフを区別しやすくするために、緑色のレンダリングが選択されました

クラインヘンツ氏は、獲得したスキャンを2つの別々のハードドライブにバックアップとして保存し、セキュリティを強化するためにそれぞれのドライブを別の人に手渡しました。そこから2日間の旅で彼らはもとのベースキャンプに戻り、今回の遠征の最終章の準備をしました。

彼らが米国に戻った後、クラインヘンツ氏はオフィスに戻り、Exact Metrologyチームはスキャンを3Dモデルとして処理をし、Artec Studioを使用して不要なデータを削除しました。また、Artec Studioでさまざまなスキャンの位置合わせをし、ファイルを GeomagicWrapなどのGeomagicデザインソフトウェアにエクスポートしました。

Artec Evaによってキャプチャされたモノリスの本来の色とジオメトリ

フェルナンデス・ダビラ氏は、3Dモデルの今後の使用について次のように述べています。「レイメバンバ博物館のモノリスの1/2スケールモデルを私達は3D印刷する予定です。これにより、この貴重な宝物を地元の住民や観光客が利用できるようになります。これでペルーや世界中どこの場所にもいる研究者と学生たちは、これから何年も、何世紀もの間、石に刻まれたペトログリフのすべてをじっくり調べることができます

遠征中にモノリスをスキャンした直後、彼らは Space Spiderをテストしてみました。フェルナンデス・ダビラ氏は、ハンドヘルドスキャナが、より小型の遺物を高レベルの詳細で、しかもオブジェクトに触らずにキャプチャする能力を試したかったのです。

それを実行するために、彼とクラインヘンツ氏は村人数人が彼らに見せるために持ってきてくれたものをいくらかスキャンしてみました。その中には陶器の破片や岩の寄せ集め(棍棒頭と呼ばれる古代の武器で、敵の頭蓋骨を叩きつけるために使用されていたもののこと。それぞれ品質状態がバラバラでした)、そして穀物を砕くために使用されていた石乳棒などがありました。

イベントを目撃した地元の人々は、スキャナや遺物、ノートパソコンをじっと見つめていたその時にたった数秒で遺物が画面に表示されたので、目を丸くしていました。

フェルナンデス・ダビラ氏とウェイランド高校の学生であるシドニー・ロイド(Sydney Lloyd)さんは、デジタル画像と印刷画像を介してモノリスのペトログリフを分析している様子

マサチューセッツに帰国した後、フェルナンデス・ダビラ氏はあのモノリスの3Dモデルを調べていたところ、はっと息を呑むような何かを発見しました。 以前は文書化されていなかった、扇形の羽毛のある蛇の彫刻が、あの石の右側に施されていたのです。モノリスを目の前で見ていたときには細かすぎて気がつきませんでしたが、Artec Evaはそれを見逃さず、完全に捉えていました。

ペルーの形成期にのみ芸術家達によって描かれていた、それと全くそっくりな画像が、クピスニケ文化アートの一部で発見されました。そのアートは、大昔の約2000年前に放射性炭素であるチャビンがよく掘られていた考古学では有名な場所にありました。これは、今回新たに発見されたペトログリフが、このモノリスの左側にあるものが彫られた何世紀も前にすでに刻まれていた可能性が非常に高いことを意味します。

Artec Evaのスキャンと、フェルナンデス・ダビラ氏によるデジタル写真の確認、そして描画分析によって明らかにされた牙を持ち羽を生やした蛇が彫刻された頭部の造形。

それからさらに行われた比較図像分析により、あの石の中央右側のペトログリフはおそらく紀元前400~200年の間に作られ、中央左側のペトログリフは西暦700年から1470年頃に刻まれたことが判明しました。

フェルナンデス・ダビラ氏は、その地域の人々の信頼を得るための重要なステップについて次のように語っています。「私達はその村でリーダー的存在の人物を一緒に遺物のある現場に連れていき、証人の役割を担ってもらいました。そうすることで、このスキャナは神聖な場所を傷つけることはないということ、そしてスキャンの行為は完全に無害であることを、彼が村人の元へ戻ったときにきちんと伝えることができるでしょう?遺骨や遺物自体に触れることすらないんですから」

彼は続けました。「これらのスキャナはまるで懐中電灯のように機能するので全く何にも損傷を与えないことを、人々に知ってもらいたいのです。村人達は、これらすべてが真実であることを理解さえできれば、落ち着いてくれますから」

「こういったスキャナを使用すれば発掘を行う必要もないし、何も破壊されることもないんです。それに、私達は彼らや彼らの土地から何も奪うことはないんですよと、明確に村人達に伝えるようにしています。モノリスは何世紀にもわたって存在していた場所です。そこは、ラモラダに通じる小道のすぐ隣にあるところです」

「私達は村人たちに常に理解して欲しいのです。私達がしているこの仕事は、彼らと彼らのためであることを。村人たちがそれにやっと気がついたとき、彼らは私達に協力的になり、ますます多くの遺物を見せてくれるようになりました。以前なら部外者と絶対に共有しなかった記念碑や物までも、見せるようになりました」

その地域の他の遺物に見られるような古典的なチャチャポヤのペトログリフを特徴とするモノリスの左側をキャプチャしているArtec Eva

フェルナンデス・ダビラ氏は、Artecスキャナを選ぶ理由をこのように強調しました。ターゲットの遺物に直面できるチャンスが一度でもあれば、それでもう十分だからだと言います。EvaSpace Spiderが使用できるなら、推測が全く要らないんですよ。遺物のすべての表面がキャプチャされている様子が、リアルタイムで簡単に確認できますから。疑わしい場合は、スキャナをもう1度オブジェクトにかざすだけで問題は解決します。Artec Studioを使用すればほんの数分で、スキャン現場やキャンプのテントの中など、どこでだってスキャンしたオブジェクトを本当にリアルな3Dモデルとして処理することができるのです。それだけこの作業は簡単なんですよ』

3D印刷のコストの低さと可用性のおかげで、これらの遺物を再現化させ、教育や研究のために学校や大学でそれを使用することができます。また、3Dモデルが持つ徹底的な詳細のクオリティは、VR環境や世界中の考古学者や他の研究者が行う徹底した研究に最適です。

何世紀にもわたって無数の遺跡が隠されてきた、雲霧林の神秘的で広大なエメラルド色の風景

フェルナンデス・ダビラ氏にとって、Artec3Dスキャナが考古学にもたらした可能性は計り知れません。 「この分野では、世界中のプロの考古学者たちが、過去に起こったことはこうだったに違いないなどという憶測で決めつける方法で過去を構築するのではなく、実際に起こった過去を正確な測定に基づいて再構築させようと常に努めています。これは考古学者としての私の使命であり、Artecスキャナは私にそれを実行させてくれる力を提供してくれます」

2020年1月にカリフォルニア州バークレーで開催された、毎年恒例で行われる第60回目のアンデス研究会議では、フェルナンデス・ダビラ氏とクラインヘンツ氏が一緒にモノリスとそのために行った遠征について焦点を当てた研究発表を行い、Artec EvaとSpace Spiderの両方のスキャン機能の実演も行いました。

クラインヘンツ氏は、文化と歴史保存の未来において3Dスキャン が担う重要な役割についても次のようにコメントしました。「大規模な次のステップは、米国議会図書館のように、世界各国の政府が全国規模の3Dライブラリを開設し、そこでスキャンがされた貴重なオブジェクトの超高画質3Dデジタルコレクションを提供することです」

彼は続けました。「このライブラリによって、このような貴重な遺物が現在と将来の世代のために保存されることが保証されます。これを実現させることは完全に私たちの世代の手の届く領域にあります。そして私たちは、すべての人類に対してそれを実現させる義務があります」