2024年度のベスト3Dフェイススキャナは?
高性能のカメラ付きスマートフォンが普及したおかげで、人の顔を3Dスキャンしたり、仮想アバターを作成したり、3Dプリントを活用してノベルティグッズを作成することが従来より簡単になりました。しかし、顔のスキャンは趣味程度の用途に使うためだけのものではありません。プロ仕様のデバイスにアップグレードすると、途端に様々な用途で非常に正確な顔のモデルが作成できるようになります。
現在、多くの顔のスキャン技術は私達の日常生活に深く浸透しており、私達はそれにすら気付かないほどです。歯科用インプラントをお求めの場合、歯科クリニックではきっとあなたの口の中をスキャンするでしょう。新しいiPhoneをお持ちなら、それには顔認証機能が搭載されています。最近、本物そっくりなアニメーションをテレビや映画でご覧になりましたか? そのアニメーションで、あなたが 顔の３Dスキャンによって作成されたCGI に感激していた可能性は十分にあります。
この技術には趣味程度の用途以外にどのような用途があるのか詳しく知りたい方は、どうぞ以下の記事をお読みください。その仕組みについてや、プロ仕様の3Dフェイススキャナにアップグレードすべき適切な場面、そしてこの技術はどんな業界で既に使用されているのかについて詳しく説明していきます。
顔のスキャン：ノベルティの作成以外にも用途はあります
誰かを3Dスキャンするというのは、なんだか面白そうな作業に聞こえます。スマートフォンからアプリをダウンロードして、友人の顔の写真を撮って、その結果から得た3Dモデルになにか面白い加工をしてみてください。これを3Dプリント用にエクスポートして、フィギュアにしてしまうこともできます。しかし、このテクノロジーをさらに深く掘り下げてみると、これを利用することでもっと多くのことが実現することが理解できるはずです。
顔の３Dスキャンは、現実世界のユースケースにこれからも適用されていきます。この技術は必ずしも世間に大々的に宣伝されているわけではありませんが、私達の多くはすでにこの技術を毎日のように使用しています。例えば2017年以降にiPhoneを購入していれば、それにはFaceIDが搭載されています。これは、Artec 3Dのスキャンアルゴリズムをもとに構築された機能で、デバイスのアクセスを許可したり拒否するために、ユーザーの顔をスキャン用データベースと照合することで確認するものです。
キーポイント
スマートフォンは遊び用には最適ですが、それ以上の用途にはプロ仕様の3Dスキャナが必要となります。
顔の３Dスキャンはスマートフォンだけでなく、他の業界でも進化していっています。例えばCGI では、制作会社がこのテクノロジーを使用して俳優をデジタル化し、映画やビデオゲームのキャラクターに使用し始めています。最先端のデバイスは、その精度の高さにより、医療分野でも顔や体に使用する装具のカスタマイズに使用できます。
ホワイトハウスでさえもこの技術を既に採用しており、バラク・オバマ大統領の本物そっくりな3Dスキャンを使用して史上初の3Dでの米国大統領のポートレートを作成しています。
もちろん、すべての3Dフェイススキャナは全く同じように作られているわけではなく、この技術を趣味程度に試しているだけのユーザーには手が届かない用途もあります。そこで、まずより本格的なスキャナに言及する前に、大衆向けのデバイスでどんなことが達成できるのかを見てみましょう。
3Dスキャナの役割をするスマートフォン
最新のスマートフォンはすべて高解像度のカメラとアプリの互換性を備えており、顔のスキャンと認識技術は従来「知る人ぞ知る」レベルのものでしたが、現在では主流なものになりました。
プロ仕様のスキャナと同様、スマートフォンで実現できる3Dモデルの詳細レベルは、使用するプロセスやハードウェア、ソフトウェアによって異なります。2020年以降にiPad Proを購入している場合やiPhone 12 Pro以降をお持ちの場合、そのデバイスには2つのカメラが搭載されています。その1つはFaceID用のTrueDepthカメラで、もう1つは光検出および測距用もしくはLiDARタイプです。
前者は何千もの赤外線の点を人の顔に投影して、その特徴の深度マップを作成して分析しますが、LiDARはより汎用的です。この技術は、パルスレーザーがオブジェクトの表面で反射するまでにかかる時間を測定することによって機能します。LIDARや、ScaniverseやPolycamなどのアプリを使用すると、ジオメトリのキャプチャは限られてしまいますが、家庭用品から人間の顔まであらゆるものを高解像度でデジタル化することができます。
Androidのハードウェアはモデルによって異なります。その同じアプリの多くはAndroidのスマートフォンでも動作しますが、カメラの解像度はメッシュの鮮明さと詳細に影響します。他のガジェットを試してみたい方は、Xbox Kinectカメラをスキャナとして利用することもできます。スマートフォンよりも特性をよく掴んでキャプチャできますが、精度や正確度はプロ仕様のデバイスより劣ります。
キーポイント
スマートフォンのスキャンでは鮮やかな色が得られますが、細かいディテールが欠けてしまいます。テクスチャを削除すると、顔ではなく特徴のないマネキンのようなものが残ります。
いくつかの対策を行うことで、スマートフォンのスキャンを最適化することができます。まず、影によって結果が損なわれないように、スキャンする場所に均一に照明があてられていることを確認する必要があります。そのセットアップが完了したら、デジタル化されるモデル（人）の周りを歩き回って、片耳側からその反対の耳側までスキャンするのがベストです。また、カメラの深度センサーが顔と背景をより簡単に区別できるように、モデルが単色のものの上に座っているか、その前に立っていることを確認する必要があります。
ただし当然のことながら、スマートフォンのカメラで実現できることには限界があります。これらの使用で鮮やかな色彩の顔の３Dレプリカを作成できますが、趣味程度以上の用途にはジオメトリデータが不足しています。
フォトグラメトリへの適用法
スマートフォンにLiDARが搭載されていなくても、3Dスキャンの代わりにフォトグラメトリを使用して人間の顔をデジタル化することは可能です。どんなカメラでも、専用のソフトウェアを介してテクスチャ付きの3Dメッシュを生成する前に、人物や物体の異なる角度からの重複写真をいくらか撮影することができます。ただし、ハードウェアも結果に影響を与える可能性があります。
スマートフォンのフォトグラメトリでも割と無難なメッシュが得られますが、それ以上のも品質が必要な場合は、ミラーレスカメラや交換可能なレンズを備えたDSLRカメラに切り替えてみる価値はあります。高度なカメラは、困難な照明条件でもより適切に動作するだけでなく、より多くの焦点オプションを提供します。
CGI (スマートフォンでのキャプチャは恐らくみられない業界) のフォトグラメトリのモデルの品質を見るだけで、その違いは確認できます。
とはいえ、このテクノロジーをどんな方法で使用しても、数十枚の写真をキャプチャするには数分かかり、3Dスキャンよりも遅くなります。キャプチャブースで実行しようとするとかなりかさばりますので、 CGIにおける フォトグラメトリ対3D スキャンの比較では、後者の方が速度と利便性の点で明らかに優れています。
最高のプロ仕様の3Dスキャナ
Artec Eva
現在、特定のユースケースに対応するために多くのプロ仕様の3Dスキャナが開発されてきていますが、顔のスキャンにおける万能製品をお探しであれば、Artec Evaを選んでおけば間違いはありません。重さ約900グラムのこの構造化光スキャナはスマートフォンより重い半面、多くの競合他社製品よりは軽く、素早く簡単にフィーチャーをキャプチャするのに十分な機動性を持ち合わせています。
Evaはわずか5～10秒で顔のスキャンができますが、フォトグラメトリと差をつけるのは解像度です。0.2mmほどの微細な顔の詳細をキャプチャできるこのデバイスは、解剖学的レベルの人の顔の構造を厳密に反映した、テクスチャ付きのモデルを生成します。ディスプレイ専用モデルを作成するだけのためにスキャンを行うなら、そこに投資する価値はないかもしれませんが、医療などの分野では不可欠となります。
トルコのAVSAR美容外科クリニックはその代表的な例です。そこでは、医師のアヴシャール（Avşar）博士が 3Dスキャンを活用し整形手術用の特殊マスクを作成しており、 これは患者が整形手術後にどのような見た目になるのかを正確にシミュレートします。以前はそういったマスクの製造は手間がかかり、詳細も不十分だったため、クリニックは手術後に患者が主張する「クリニックが宣伝していたような結果が得られなかった」という声にきちんとした対応ができずにいました。しかし、アヴシャール博士がEvaを採用するようになって以来、彼の患者達はより信頼できる情報に基づいた決断ができるようになりました。
Artec Leo
Evaの精度とスキャン速度に加え、スマートフォンを用いる場合のような使い勝手の良さを組み合わせた、より高度な構造化光スキャナのArtec Leoは、今までになかった代替案を提供します。現在の市場で唯一ワイヤレスでAI搭載のスキャナであるLeoは、大衆向けデバイスと同じ「ポイント・アンド・シュート」機能を備えつつ、大衆向けデバイスよりも高い精度で被写体をキャプチャします。
キーポイント
Artec LeoとEvaは、スマートフォンよりもはるかに高解像度で顔のスキャンをキャプチャできます。これは、重要な医療用途の場合でも対応できることを意味します。
内蔵ディスプレイと合わせて、このデバイスはユーザーを配線のせいでPCの周囲に拘束させる他のプロ仕様の3Dスキャナよりも扱いやすくなっています。そのスキャン速度は 3,500万ポイント/秒で、ハンドヘルド型の競合他社製品よりも高速となっており、たった数秒で顔のデジタル化ができます。
しかしこの速度のために、細部のキャプチャがおろそかになるわけではありません。HDモードをオンにすると、Leoはわずか0.2mmの解像度で顔の最も細かい特徴でもキャプチャすることができ、驚異的にリアルなスキャンを実現できます。また、このモードの使用で髭の再構築も可能になります。スマートフォンでは、この点が困難になりやすく、その結果、盛り上がったような髭の顔のモデルになってしまいがちです。
Artec Space Spider
医療計画や歯科用インプラントの製造、そして考古学分野でのデジタル化などで非常に微細な公差を取り扱う場合、0.05mmの精度や0.1mmの解像度を持ち備え、青色光を使用するArtec Space Spiderは理想的なソリューションです。
キーポイント
Space Spiderは、目元の掘りの深さや鼻の形、肌のトラブルなどの顔の細部を驚くほどの精度でキャプチャします。
人間の顔をデジタル化するには、EvaやLeoよりも少し時間がかかるかもしれませんが、人の顔の細かい凹凸やシワまで確認できるほどリアルな3Dモデルを取得できることを考慮すると、40秒はそう長い時間ではないはずです。その証拠はすでに出ています – Evaと共に、VFXの専門家らがこのデバイスを使用して TVシリーズ「スリーピー・ホロウ」の制作に不気味なほど現実的なCGIのキャラクターを作成しました。
文化遺産の研究分野でもSpace Spiderは活躍しており、1万年前の男性の顔の復元に貢献し、驚異的な精度を提供しました。彼の遺体は100年以上前に発見されましたが、Space Spiderのようなテクノロジーの出現のおかげで中石器時代の穴居人が忠実に再現され、ヨーロッパ中の博物館で展示されるようになりました。
Artec Studio
Artec Studioは、Artec 3D社製品を用いた高解像度のスキャンを迅速かつ簡単に行えるように設計されており、 プロ仕様のスキャンデータのキャプチャと処理に最適なお供です。顔のスキャンが初めてという初心者の方にとって、このソフトウェアの自動モードは従来の手動で編集する作業の多くを自動化するのに最適で、スキャンからメッシュを作成するのになんとわずか1～2分で済みます。
Artec Studioを使用すると、他のデバイスから得たスキャンを組み合わせることもできます。そのおかげで、EvaやLeoで誰かの顔を迅速にキャプチャし、クリックひとつでそのデータをSpace Spiderから得た高解像度のスキャンと組み合わせて、より現実的な結果を得ることができます。
顔などの動く被写体のスキャンに関しては、Artec Studioも優れた機能を備えています。このソフトウェアのアルゴリズムは、人物（特にじっとしていられない子供）をスキャンする際にどうしても発生しがちな小さな動きを補正します。
他にも、このプログラムはAIを利用してニキビなどの細かい部分をキャプチャし、 (LeoとEvaで利用できる) HDモードによって、スキャンが難しいと言われる頭髪のデジタル化を容易化します。特に鮮やかな色の顔の3Dモデルを作成する場合、Artec Studioでスキャンとフォトグラメトリを併用し、非常に目を引くテクスチャを作成することもできます。
アプリの説明に入る前に、まず顔のスキャン技術と可能な限り最良の結果を得る方法について見てみましょう。
顔を3Dスキャンする方法
ワークフローは、使用するテクノロジーによって異なります。スマートフォンを利用するLiDARスキャンは多くの場合、アプリをダウンロードしてその指示に従うだけで簡単に行えます。生成されるメッシュの品質は低くはなりますが、プロセス自体はプロ仕様の3Dスキャンと似ており、人のモデルをどこかに配置して、その周りを歩きながらそのモデルの顔をデジタル化します。
この中核となるワークフローには、全体的な結果を向上させるためにできる特定の手順があります。まず始めに、デジタル化されるモデルが影に覆われるのを防ぐために、最も近い光源から等距離に座っていることを確認してください。大体約1.5メートルの距離をあけるとよいでしょう。
それから表情の変化を抑えるために、モデルが自然にまっすぐ向いた先の視線の少し上に焦点を合わせてもらい、話したり笑ったりしないように注意してもらいましょう。モデルが眼鏡をかけている場合は、スキャナの光を反射させないよう、眼鏡をできれば外してもらいましょう。顔周りのアクセサリーはいつでも後で個別にデジタル化して追加できます。
作業を開始したら、各領域を一度デジタル化しながら、片側の耳から反対側の耳へと移動し、必要に応じてスキャナを傾けながら、表情の変化を制限するために素早くスキャンするのがベストです。最先端のデバイスを使用すると、詳細なボディスキャンを数秒でキャプチャし続けることも、そのまま編集に切り替えることもできます。Artec Studioには、モデルがわずかにびくっとする際などの動きを考慮して、複数のスキャンを位置合わせできる編集ツール一式が搭載されています。
もし心配なようでしたら、以下の注意事項をモデルに伝えましょう：
- 視線の少し上にある点に焦点を合わせること
- 安定した、快適なポーズをとること（動きを最小限に抑えること）
- 笑わないように、そして顔を動かさないようにすること。高速スキャンがその際役立ちます！
- メガネなどのアイテムをとること。それらはいつでも後で追加できます
- リラックスしながら片方の耳から反対側の耳までスキャンし、次に頭の周りを円弧を描くようにスキャンすること。
注: 顔の筋肉は動きに非常に弱いため、顔の各部分をスキャンするのは1回にとどめましょう。
スマートフォンの画像を使用するにしても、最先端のカメラの画像を使用する場合でも、これらのヒントの多くは、照明や背景が品質に影響を与えうるフォトグラメトリにも適用できます。とはいえ、対処すべき問題は他にもあります。レンズのキャリブレーションやぼやけ、画像の重複にも対応が必要です。これらの問題は、プロ仕様の3Dスキャンで回避することができます。
キーポイント
人の顔をデジタル化する速度が速ければ速いほど、発生する問題は少なくなります。スピードとテクニックは重要となりますが、それはArtec 3D社製スキャナが優れている点です。
用途
顔認識
顔用スキャンの用途というと、顔認識は一番最初に思い浮かぶものではないかもしれませんが、顔認識は実は最も普及しています。2011年以来、スマートフォンの開発者らはセキュリティ機能として顔認識を着実に展開してきました。通常、AIが導入されているこのテクノロジーは、仮想スキャンのデータベースと照合して、人の顔の特徴をチェックすることで機能します。
この技術はアカウントの検証だけでなく、ソーシャルメディアやマーケティング会社が見込み客を特定するためのツールとしても使用されています。米国では、顔認識による空港でのセキュリティ用途も増加しており、法執行機関が問題のある乗客を発見するのと同時に、一般旅行者が旅行を問題なくスムーズに続行できるようにするのに役立ちます。
デジタルショッピング
小売業界において、人間の顔と体のスキャンは、オンラインショッピングの最大の欠点の1つを克服するのに貢献しています。その欠点とはずばり、「試着ができないこと」です。Wearfitsのようなアプリは、3DスキャンとAR を組み合わせているため、顧客は着用時に商品が実際どのように見えるかを確認できます。現在、多くの眼鏡店は、眼鏡を試着するために同様のテクノロジーを彼らのウェブサイトに導入しています。
未だ主流にはなっておらず、多くのソフトウェアプラットフォームの基本的な追跡機能は完璧に機能しませんが、それでも小売業界の仮想化は前進し続けています。すでに一部の小売店では顧客の顔の特徴分析に基づいてお勧めのメガネフレームの提案を行っており、AIの進歩により他の小売店もこの技術を導入することでオンラインでの販売を促進していくことは間違いありません。
キーポイント
多くの人々は気がついていませんが、3Dスキャンは日常的に使用されるスマートフォンやオンラインショッピングサイトの機能の中核となっています。
CGI
3Dスキャンは、ビデオゲームやテレビ番組、映画などに使用される驚異的にリアルなCGI を作成する手段としても普及し続けています。特定のキャラクターや小道具、環境をゼロからデザインするのではなく、スキャンから構築するほうがはるかに速く済むので、クリエイターは視聴者により没入型の体験を提供することができます。
そのような例の1つとして挙げられるのは、カリフォルニアのVFXに特化したFXTC社がSpace Spiderを用いた3D スキャンを導入したことで、米国の人気テレビドラマのウォーキング・デッドに出てきた本物そっくりなCGIを作成しました。 その結果として得られた小道具や俳優の顔のフルカラーで高解像度のスキャンは、この番組のセットに命を吹き込み、それはあるエピソードでプロデューサーの思い描いた実にショッキングな人体の切断シーンの光景を実現するために使用されました。
その他にも注目度の高いCGIアプリケーションにはアーノルド・シュワルツェネッガーが演じるターミネーターの顔のスキャンが挙げられます。 これは『ターミネーター ジェニシス』にも登場しました。Evaを使用するTNG Visual Effects社は、トワイライトからスーパーマンに至るまで、あらゆる種類の映画シリーズの特殊効果にも取り組んできました。
医療および歯科
臨床現場では、3Dスキャンは医療機器や歯科用インプラントを患者の解剖学的構造に合わせて正確にカスタマイズする際に活躍する強力な非接触型ツールです。たとえば火傷を負っている患者には痛みを伴う石膏ギプスをせずに、保護マスクを装着することができます。
専門的な3Dスキャンは頭蓋顔面手術でも盛んに行われています。革新者の1人であるシェリル・ルーウィン（Sheryl Lewin）博士は、超精密なSpace Spiderを小耳症患者用の耳のインプラントをカスタム仕様で作成する目的で利用しています。このデバイスの速度と解像度のおかげで、彼女は患者の健康な耳に完全にフィットする移植片を作成し、不快感をできるだけ与えない方法で移植できるようになりました。
同様に、高精度の顔のスキャンも歯科医の間で人気があります。インプラントを提供する歯科センターでは、 3Dスキャンによる歯科用インプラントの位置合わせは彼らの毎日の仕事のルーチンの一部となっています。写真撮影と口腔内スキャンを行っていた従来の方法からSpace Spiderを用いたスキャンに切り替えたことで、より速いペースとより高い精度で患者の施術後のシミュレーション画像を提供できるようになりました。
考古学
プロ仕様のデバイスは、現在生きている人の顔をスキャンするだけのものではありません。考古学者や法科学分析者は、こういったデバイスを死者のデジタル化に活用してきています。英国を拠点とするFace Labと呼ばれる実験室で働く研究者達にとって、Space Spiderは歴史上の人物に命を吹き込み、これから多くの人々に鑑賞してもらうことを可能にしました。
あるケースでは、デバイスのフルカラーと高精度スキャンにより、 ロバート・ザ・ブルースの顔、そしてスコットランド王の模型は現在ヨーロッパ中の博物館で見ることができます。また他の米国でのケースでは、研究者達は3Dスキャンによって青銅器時代の「グリフィン戦士」の外観を、死後3,500年後に彼の墓が発見されてから推定することができました。
法科学
法科学の分野で使用される顔のスキャンは、警察の捜査官が犯罪現場で手がかりを発見するのにも役立ちます。事件の被害者の遺体等の法科学的証拠をサブミリメートル単位の精度でデジタル化することで、遺体が撤去されてからかなり時間が経ってからでも分析ができたり、訴追を支援するために使用できるようになります。
実際、プロ仕様のスキャナは歯の間の隙間を非常に正確にキャプチャできるため、研究者は現在実験的に噛み跡の分析にそれを使用しています。現時点では噛み跡は多くの法廷で証拠として認められていませんが、この技術はこれからこの法科学分野の現状を揺るがし、多くの被害者に終結をもたらす可能性があります。
キーポイント
プロ仕様の3Dスキャナは顔の特徴を非常に正確にキャプチャするため、診療所や法科学、そして考古学の分野で利用されています。
顔のスキャンの将来性
顔の3Dスキャンの用途として顔認識は依然として最前線にあり、この技術はこの分野で新たな用途を見出し続けています。すでに米国の乗客を識別するためにTSA（米国の輸送機関システムを保護し、安全な飛行機旅行を保障するために2001年に設立された機関）によって使用されていますが、現在では銀行認証への利用が増えており、2024年までに13億台のデバイスに顔認識機能が搭載されると見込まれていているので、消費者市場は飛躍的に成長しています。
スマートフォンでのキャプチャとは別に、プロ仕様の顔のスキャンもより多くの医療や法科学、そしてCGI関連のニッチな分野に進出し始めています。スマートフォンでのスキャンやフォトグラメトリよりも正確なArtec社製品は、アニメーションや考古学、そして臨床現場などの上級ユーザーが求めるニーズに応えます。
そんな中、このテクノロジーはこれから一体どこへ向かうのでしょうか? プロ仕様の3Dスキャンは、他の顔をキャプチャするテクノロジーよりも大幅に進歩しており、スピードと精度が重要視されるあらゆる場面で、今後も新たな使用例が見つかっていくはずです。
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