Artec Eva は、バセドウ病の患者さんに心地よい眠りをもたらすのに役立ちます

概要: バセドウ病に罹患している多くの患者は外科的治療を選びます。しかし、これはしばし不快で不眠症につながる深刻な副作用をもたらします。

目的: ハンディ型3Dスキャナ (Artec Eva) を使用して患者の顔をデジタルでキャプチャ。特殊な加工可能材料 (バイオフレックス) を使用して、3Dプリントのカスタマイズ・フェイスマスクを作成します。このマスクは、患者がしっかりと夜睡眠を取ることができるよう設計されています。

利用ツール: Artec Eva、Artec Studio

イタリアのDigital Maison社はARTEC Evaを使って患者の顔面の正確な形状をキャプチャし、睡眠障害を軽減するためのアイマスクをデザイン・3Dプリントしました。

バセドウ病の発症率は男性で0.5%、女性で3%となっており、その一般的な症状の1つが眼球突出(片方または両方の眼球の突出)です。眼球突出とこれによる眼球の不動性により、過剰な流涙、羞明、視野狭窄が起きます。この病態を改善するため、通常、バセドウ病の薬理学的、ホルモン療法からスタートし、眼球突出に対しては手術が行われます。

眼球突出が発症した患者さん

手術で副作用を防ぐ対策はありません。副作用の1つとして、上眼瞼挙筋(上瞼を引き上げる筋肉)の腱組織に損傷を与え、目を閉じることができなくなったり、患者さんを不眠症にしてしまうことがあります。

これは、48歳の女性患者に実際に起きたケースで、手術後、睡眠障害を訴え、睡眠用マスクやパッドを使っても症状を軽減することはできませんでした。

イタリアのトリノで3Dスキャンとプリントサービスを提供しているDigital Maison社は、この患者さんのためにカスタマイズしたアイマスクを作成するように依頼されました。

「この仕事の依頼主であるKairos 3D社は、小型医療機器プロジェクトにおける当社にはスキャン能力と情熱があり、これらのプロジェクトで当社が最新の3Dスキャン、モデリング、プリント技術を使用することをよく知っていました。」と言うのは、Digital Maison社のパウロ・ジアノリオ社長です。「当社では、低コスト技術で素早くソリューションを提供することを目的としています。」

Digital Maisonには、スキャナを使用し、Rhinocerosで高速モデリングを行い、Zprinterでのラピッドプロトタイピングを行い、重度の足変形症を患う患者さんのために専用靴を設計した実績があります。パウロ氏は、15年前に3Dスキャナについて論文を書いたイタリアで最初の研究者の1人です。

「このプロジェクトでは、当社はARTEC Evaを使用しました。Evaは、極めて使いやすく取り扱いが簡単にもかかわらず、精緻な表面データまで確実にキャプチャできる唯一の中小オブジェクト向けスキャナです」 と、パウロ氏。「このスキャナは持ち運びが簡単なので、患者さんの自宅まで行き、そこで直接スキャンを撮ることができました。これは、患者さんの心理面に有利に作用します。」

ARTEC Evaを使って患者さんをスキャンする様子

ARTEC Studioでのスキャンやデータ処理は数分で完了し、正確でテクスチャ情報が正確に反映された顔の3Dイメージが生成されました。

ARTEC Evaを使って生成した患者さんの顔の3Dモデル(テクスチャ情報があるものと、ないもの)

ARTEC Studioの測定ツールを使って、パウロ氏は患者さんの姿勢(仰臥位か座位)により、顔の形が大きく変わることを突き止めました。頬などの柔らかい部分の皮は、患者さんが仰臥位から座位に変わることで最大5mm動くことがわかりました。

「睡眠用マスクを作る今回のプロジェクトのように、顔にピッタリとフィットするものを作ることが最終課題であるプロジェクトでは、初期エラーは絶対に避けなければなりません」と、パウロ氏。「横になったときの顔でスキャンを撮らなければならないことは明らかでした。いずれにしても、ARTEC Studioで撮った2つのスキャンデータを比較し、その高さの違いを目のあたりにするのはとても興味深いものでした。」

青い色は仰臥位で撮った皮膚が座位で撮った皮膚よりも下がっていることを示しています。

表面モデリングの際に、3Dメッシュ化にRhinoceros 5を使い、マスクの3Dモデルを設計しました。アイマスクは顔の表面を完璧に再現しました。これにより、光の侵入を防ぎ、夜間、瞼を閉じた状態にするのを助けます。

アイマスクを付けた状態の患者さんの3Dモデル。Rhinoceros 5で作成

このようにして完成したモデルは、Delta Wasp 3DプリンターのFDMプリント(プリンターが材料を層状に噴出していく溶融積層造形法)いくつかの材料で試されました。最終的に、半剛材料で、しっかりとフィットするのに優れた快適性を保つバイオフレックスを使用することで決定しました。

3Dプリントされたアイマスク

「ある患者さんの特定の問題を解決するために依頼された今回のプロジェクトは、同じ様な病気に苦しむ他の患者さんにも適用できるでしょう」と、パウロ氏。「このスキャナは、あらゆる医療目的で、患者さん1人ひとりにあった装具を作るのに役立てることができます。」

このアイマスクのように何らかの装具を必要とする方は、 Digital Maison社まで詳細をお問い合わせください。

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